[ TRACTION AVANT 15 six H の油圧回路 ]
[ Traction Avant 15 six "H" の後輪:Hydro-Pneumatic-Suspension から、最初期 DS 19 を考える ]


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[ Traction Avant 15 Six "H"]
◆コメント

 最初期の DS を知るには Traction Avant 15 Six "H"を知ることは必須だろう。今回は BROOKLANDS BOOKS より The Motor: Road Test No.7/55 (March 23,1955) ; Six ( Hydro-pneumatic Suspension ) の記述を紹介します。当然、この本"CITROEN Traction Avant 1934-1957 の P-97~100 の最終項目ですが、この記者はもしかすると J.Reynolds 氏よりも優秀かも知れません。 Hydro-Pneumatic-Suspension も特段のシステムではないと「冷静」ですし、Impression も特別の評価をしていません。当時の状況はそのような段階であったのでしょう。まあ、何時の時代でも解かる人は解かっているもののようです!
 要点をまとめると「サスペンションにエアーを用いるというアイデアは決して新しいものでは無く、その歴史と同じ位古いものです。従って、近年の関心事は如何に作動室内の高圧のエアーを改良された天然ゴム或いは人工ゴムのバックに保持出来るか、とその作動室を潤滑出来るかにあったのです。同時にシトロエンが後輪のスプリングに採用した油圧式ダンパーは、この物語のほんの始まりでしかありません。15 Six H のダンパー・ユニットは[ 2-Way-Valve の ピストンタイプ]で後輪がトレーリング・アームをスイングさせるとダンパーのピストンがサスペンション・シリンダーの中を[ 出たり、入ったり]動くものです。」と記載されています。  ↓構造図を参照。
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 最もドラマティックなことは、エンジンをかけると 7-Piston ポンプが[ Brake Fluid ]をアキュムレーターに送り、サスペンション・システムを加圧して、エンジンが始動して数分後、車の後部があらかじめ[ designed-position ]にまで上昇するのです。もしも車の後部が外力によって下げられた場合には、スプリングによってだけでなく、オイル・サーボの効果によっても元の位置に戻されます。
 「しかしながら、この新サスペンションの違いはよほどの悪い道に持っていかない限り、差を認めるほどではなく、この車のセールスポイントとなるには英国の道路は良すぎると言うべきであろう。」とあまり評価は高くないのですが、この種の本としてはかなり「冷静且つ正確」に Hydro-Pneumatic-Suspension を説明しています。このことより、記載されているサスペンション・シリンダーやその内部のダンパー形状も信頼出来ると考えられます。このレベルのダンパーでは硬くて差は出なかったのでしょう。最も作動油がブレーキ液と書いてありますので、粘度が低いことも確かなことです。このレポートが 1955 年 3月ですから DS19 と同じと考えられますが・・・その意味でもこの記事は重要です!
 特に、Maintenance の項を読みますと、幾つか重要な記載があります。作動油には当然ブレーキ・フリュード(液)が使われています。 CH 12 とか LHS- 2 と言っても Lockheed のブレーキ液とそれ程違った、特別の製品では無いようです。これは LHM がシトロエンのブレーキ液として使用されているのですから、当たり前のことです!私は特に LHM が 2CV にも使われていることを指しています。
 もう一つ、バッテリーが Traction Avant では 1940年代から 12V であったことです。15 SIX H でも 12V 57A となっているのに、DS 19 では 12V になったのが 1959年からなのはどうしてなのでしょう?そのことを"ORIGINAL 本"では「ゴチャゴチャ」と書いてありますが・・・変な話ではないのでしょうか?


▲解説
 回路図は Quai de Javel, Quai de Andre Citroen からですが、エンジンの写真は前項に既に掲載してありますので参照して下さい。Traction Avant のリヤー・サスペンションは後輪と車軸は固定されていますが、車軸を中心としてトレーリング・アームは独立に動くので、半独立懸架とされていますので、ここに掲載した図のハイトコレクターの位置と作動方法が問題です。 DS のようにトーションバーからの長いロッドによりハイトコレクターが動かされるのと違って、Traction Avant ではトレーリング・アームの軸から少し離れた場所にある、9 アンチロールバー中央部にあったようですから、少し近過ぎたように思はれます。最初期 DS 19 のハイトコレクターの記載からすると「良好に車高のコントロール」ができたとは想像出来ません。このように近い位置では DS 19 に付いて "ORIGINAL 本"に記載されているように,初期のハイトコレクターは車高補正機能が余計に働いて、いったん上がりすぎたり下がりすぎてから、それをまた補正するような傾向があった。( 1962年 5月まで!) 41頁。・・ようですから、まだ完成されてはいなかったと言うべきでしょう。
 私は拙著の中では、ハイトコレクターの位置決めをいじると「泥沼になる」と記載しています。その位にハイトコレクターとは「あいまいな装置」なのです。アンチロールバーから長いロッドで「適当に」スライドバルブが動かされているのですから・・・良くも位置が決まるものだと感心するのが整備を自分でやったことのある人の感想でしょう!
○ダンパーバルブ:この記載も"ORIGINAL 本"では 39頁に「・・・フレキシブルなディスクを何枚か重ね、それを中央部でネジ留めしたものである。・・・また、バルブ中央の穴ではどちらの方向にも制限なく自由にオイルが流れ、・・・」と矛盾したことを書いています。 これは、ダンパー・ディスクに初期には自由にオイルが出入りできる穴は無かったのであり、後に ( 1963 年以降 )ディスクの周辺部に開けられたことを共に誤って記載したものです!これらの二つを区別出来ずに記載しているようです。


◎ダンパー・ディスクの種類と形状に就いては既に( 2005-04)に紹介してありますが、今回はまた別の資料より紹介しておきます。"HOW CITROEN": J-P CHASSIN :1977 からです。By-Pass-Hole の有無の部分のみにします。センター・ホールは Welded-Type での事です!

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▲CG: "ORIGINAL 本では、難しい?話になると直ぐに「オリフィスなどを設けて」と書いて、ごまかしているのが目立つようです!ハイトコレクターには、ちゃんと[ ダッシュポット]と用語がある筈なのですから、正確に使うべきだと考えます。

▼Traction Avant 15 Six H の生産台数は TOUTES les CITROEN によれば、1954年型:1,680 台、1955年型:1,382 台と意外に多いのです。価格も 940,000F と DS19 の同時期の 930,000F よりも高価格です。 
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by citroenDS | 2006-09-21 23:37 | Citroen 資料紹介


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