←[ DS21:Mecanical Gear-Change と Automatic (Hydraulic) Clutch がモデナで競争したが Automatic のほうが早かった!Le DOUBLE CHEVRON No.6 1966 より ]
◇コメント 「DS の誕生」の 11 頁から「セミオートマティック式ギヤボックス/クラッチ」との記載は始まります。これは DS ベルリンの「トランスミッション」の解説、51 頁で明確になります。私はこれらの「解説と表現」が間違っていると申しているのではありません。シトロエン広報( RELATION PUBLIQUE CITROEN )の発刊した資料を、今回全て調べましたが、何処にも、一度も[ semi-automatic ]と言う表現を見つけることは出来ませんでした。 これは「トランスミッション」という呼び名が、何を示しているのか?にさかのぼる必要が在るかも知れません。シトロエン広報の発刊した Le DOUBLE CHEVRON 誌には「最後の頁」に"CHEZ L'ANTIQUAIRE" という連載で過去生産したモデルが 1台ずつ載っています。横向きのイラストと簡単な説明、時にはエピソードと詳細な仕様が記載されています。 当然、仕様には ENGINE, CLUTCH, GEAR-BOX, TRANSMISSION, BRAKES, WHEELS, TYRES, CHASSIS, BODY, PERFORMANCE FIGURES のように分類されて記載されています。 今見ているのが、 No.29, 1972-autumne ですが、Citroen faux cabriolet 11 leger -1935 です。このように、この時には TRANSMISSION とはギヤボックスから車輪に力を伝達する装置をいっています。ですから ...driving the front-wheels.Tracta universal couplings ( double-needle Hooke's joint )と書いてあります。 トランスミッションにクラッチやギヤボックスまでも含むようになったのは、英国式の強い影響のように思いますが、如何がでしょうか? その後、 DS の頃になるとそのような「分類」になっています。下記の仕様は DS-Cabriolet のものです。 私にはクラッチ、ギヤボックス、本当のトランスミッションとの分け方のほうが「解かり易い」と思うのですが・・・ それにしても、かつてシトロエンの資料に「セミ・オートマ」の文字は出てきません。先回、ベルギーの DS/ID のカタログを紹介しましたが、そのなかにも "HYDRAULIQUE" "AUTOMATIQUE" の文字しかありません。事実の通りに「油圧制御」であることが書かれているだけです。ある意味で「セミ・オートマ」との表現は日本的なのかもしれませんし、何よりその根底には「英国式の強い影響を受けている」のでしょう。だから、日本人には抵抗感がないのでしょう。 もともと、英国のシトロエン・クラブは何と CCCと名のっているのです。 Citroen Car Club です。ですから著者も CCCの影響をうけて Semi-Automatic と呼ぶのが正しい!と書きたいのではないでしょうか? しかし、この本の中でさえ、最初から「矛盾」をした記載になっているのです。 12 頁、21 頁に紹介されている DS 21,23, Pallas に"H" が付いていますが、これは Hydraulic の "H" でしょう。[ DS ベルリン 生産モデルの推移 ] の一覧表のギヤボックスの分類を hyd, man, auto と記載して、hyd: 油圧式セミオートマティックとした理由は「何なのでしょう」か? CCC の会報のように Gear Box: SEMI , 5 SP と記載してしまったほうが、一層の事「スッキリ」しているではありませんか。 ここで重要な問題なのは、ギヤ・ボックスでは無くて、油圧によるクラッチ・コントロールの方でしょう。この事が解かっているからこそ「不徹底」になっているのでしょう。 この事は、 DS/ID デカポタブルの項をみると一層明らかです。 1964 年型 DS19H が 2 台掲載されています。生産モデルの推移表にはもはや、ギヤボックス hyd, man としか書かれていませんから、著者達の主張する「トランスミッション」とは「ギヤボックス」のことのようです。このことは 105 頁の”イギリス向けにセミオートマティック・ギヤボックスが設定されたのは 1963 年 9月であるから、当初は全車ともマニュアル・ギヤボックスだったはずだ。”と記載していることより明らかになると思はれます。これでは益々賛成し難いことで、私には「クラッチ」の自動制御を形式的に「セミ・オートマティック」と称するのならば、まだ妥協の余地はあったのにと残念です。 油圧によるクラッチ・コントロールは見事なものです。だから "Automatically Hydraulically Controled" と呼ぶにふさわしいものではありませんか!「マニュアル・ギヤボックスとオートマティックの中間的存在として、きわめて優秀な機構といえよう」と書きながら、英国人の多くは"マニュアル仕様"を買った事実を、どのように解釈したら良いのでしょうか? この証明として拙著 "What's DS ?"の 140 頁に引用してある CCC の 1973~1976 年までのDS 23 Cab 仕様 (FE) 会員の一覧表がありますので紹介しましょう。 19 人中[ SEMI ] が 7 人で、その他が[ 5 SP-MT ] の 12 人であることです。しかも、ここでも明らかに「ギヤ・ボックス」に基ずく分類である事実です!クラッチの制御方式ではありません。 ◎アメリカでは Citromatic とよんでいたことは確かなことです。私は 8年間 Citroen Club of North America の会員でしたから、For Sale 欄からコピーを示しましょう。しかし、これも GS, CX の C-matic とまぎらわしいですね。 ◆結論 私は終始シトロエン DS とは左ハンドルの Hydraulic Control of the Gear-Box & Clutch の車を言うと、主張いたします。これは Relation Public Citroen が記載した事実と、その資料の理解に基ずくものです。 ▲参考 「大車林」によれば、アルファロメオに [セレスピード] というステアリングホィールの押しボタンでシフト操作をする 5速シーケンシャル・トランスミッションがあり、電子制御式油圧作動クラッチを装備していると云う。現在ではこのような多岐に渡った AT がある時代ですから、DS だけが「セミオートマ」だと言っている時代ではなかろうと思います。シトロエン社が記載しているように「油圧による自動制御クラッチ」= Automatically, Hydraurically で良いのではないでしょうか!
by citroenDS
| 2006-08-28 22:10
| Citroen 資料紹介
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by citroenDS [ このブログに就いて ]
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◆ このブログはDSの整備、修理、広報誌 Le DOUBLE CHEVRON 、カタログ等の資料から[ DSの全て]に就いて解説をしています。 ▲保有資料は日本最大です。 ▲ 自分のDS23 Pallas '74の写真も紹介していますので、ご覧下さい。 ▲ミニチュアカーも貴重な資料として解説しております。 -PART-2- ◆ 平行して my "MINIATURE CAR COLLECTION" を載せていますので、[カテゴリ]の★-目次-☆を活用して下さい。 カテゴリ
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