[DS/ID 19: 正しいブレーキ回路]
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 [DS 19:1955~65]
◇ 解説:[ ブレーキ: DS 19 編]

 実のところ、何と言うタイトルにしたものか?と思案しました。身近には「シトローエン」二玄社があります。大川氏が 104 頁に”オイルの上に乗った車” DS の油圧系統図として引用しているもので、その内の[BRAKE]系統の部分です。何と後輪用のブレーキ・アキウムレーターがあります!これでは荷重の小さな後輪はスピンしてしまいます。皆さんの内でも「多くの方々」も、少し変だな・・と感じておられたでしょう。
 しかし、1955 年製のDS 19 を所有することは無いから「あまり関係の無い事」と真剣には検討されなかったでしょう。かく云う私自身、例の「シトローエン」さ!と見ていました。
 WIKIPEDIA 編集を機会に資料調べをしてみますと、BROOKLANDS BOOKS ( Autocar )の記事 以外に詳しいものは無く'Citroen DS19 Startles Paris' の 8頁には全く同一の Schematic Diagram が載っている始末です。その[BRAKE]の部分だけ、最初に提示しておきますが「正しいもの」として掲載している訳ではありません。否、どうして「全く同一の誤図」が存在しているのか?を考えたいからです。
 ここまで「寸ぷん違わず」の図がある事は、これらの原図が「信頼を得たもの」として存在していたからでしょう。しかしながら、本文中の[ BRAKES ] Disc brake for the front wheels, Drum brakes for the rear wheels. Pressure distributed according to axle loading. Automatic adjustment on front brakes.となっています。この記載内容と Schematic Diagram との矛盾を両著者共に「全く理解しておりません」。
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 それではと、当時のカタログを調べました。当時の前輪のディスク・ブレーキのキャリパーは[ floating type ]でしたので、その解説図と共に「見慣れた」後輪荷重油圧により、ペダルを踏む力を分配する油圧ピストン装置まで既に装備されていたのです! このブレーキ・システムはシトロエン社の特許で、ロールスロイス社が買っています。 このシステムに就いては既に(2005-03-20; BRAKE PRESSURE DISTRIBUTOR で記載済みです) DS ではキャリパーの変更以外は、BRAKE 系は DS 19 で完成されていました。 これで「かなり油圧系統が明確になった」筈です。 DS 19の完成度に比して ID 19 は手を抜いたものです。
 パーキング・ブレーキの説明を良く読んでみますと、何故に前輪ディスクに1本ワイヤーなのか?が「明確」になります。ここで思い出すのは、ジャンボジェットの 4 系統の油圧操縦コントロールが採用された時、DC 8 では未だ金属ワイヤーが緊急用に残されていことです。油圧配管のみでは「信頼性」が無かったのです。油圧ステアリングでさえ、手動操縦は可能ですと追記されております。
 No parking brake lever is provided; instead a large pedal on the driver's extreme left doubles as parking and emergency brake. 油圧ブレーキがダメになった時には、この機械的に作動するブレーキが緊急用として作動するので安全であると・・これはこの項を担当した著者が書いたのでは無く、当時のカタログに「しっかり」書いてあったのです! 
 結局、最初からカタログを信用すれば良かったと言うことです。この事からも、シトロエン広報が発刊した Le DOUBLE CHEVRON が 1965 年以前からであってくれれば、DS の誤解も随分少なくて済んだでしょう。私の最も残念に思うことです。

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◇ 解説:[ブレーキ: ID 19 編]
 ここでは ID ですから [1956~65] となります。当時の ID 19は”Front inboard disc rear outboard drum brakes, similar on the DS 19 are fitted in those on the DS 19 are fitted in the ID 19, BUT THEY ARE OPERATED BY A NORMAL UNPOWERED LOCKHEED HYDRAULIC SYSTEM AND A FULL-SIZED BRAKE PEDAL. 何と、普通の「ブレーキ液」のノンサーボだったのです!従って、Traction Avant からの乗りかえであったから、その時代であったから「生産可能な車」であったと考えるのが適切であろうと思うのです。
 事実、1957;Citroen ID 19P; HPに[brake fluid reservoir] に needs a lot of force to stop the car と書いていますし、1958年 2月には Citroen equipped all ID with a sligthly improved brake system with emergency とも記載しています。
 シトロエン社が ID 19 を生産しなければならなかった「背景に就いて」項を改めて書いてみようと思います。 DS/ ID の最初の 10 年間と、次の 10 年間とは「分けて考える」べきであると同時に、DS/ ID という車自体が違ったものなのです。この事実は重要です。
 *1966年モデルから、 ID 19 は全く別の車に「生まれ変わった」のです! だから、この頃から名称にも変化が生じたのだろうと思います。→ DSpecial, DSuper です。
*このことは、別項で詳しく記載します。
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by citroenDS | 2006-06-08 22:59 | Citroen 資料紹介


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