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[SUSPENSION SPHERE 解説]
SUSPENSION SPHERE 解説
 [サスペンション球]には分解式である(screwed together type)と、溶接式(welded type)とがある。 DS の 99.9%は当然古い分解式であるが、私の '74 年後期の DS 23 pallasでは溶接式が付いていた。前が 500cc で 69 bar、後が 500 cc、26 barの CX-Type であった。 この時期は CX と同時生産していたから、DS の最終版には溶接タイプが装着されたものと思う。
 一般的に考えて、車の性能が向上すればダンパーは強化されるであろう。DS もその 20 年の歴史のうちで同様の変化があったと考えられるから、私は CX 用を使うことで不安定さを解決しようと考えた。
 CX 用の球は、前が 75 barであるが圧は高いほうがバネは柔らかくなるから問題は無く、ダンパーが適当であるかが肝腎なのです。 実際には心配するほどのことはなく、私の望むレベルで安定した挙動を得られました。ダンパーのセンターホールをマイナス・ドライバーで叩き小さくしましたが、その後の乗り味で本来 CX 用に戻して、この10 年間満足しています。
 [サスペンション球の物理学] 球(スフェア)の内部にはゴム製のダイアフラムとそれで隔絶された高圧窒素ガスがあります。車重は前後4個のダイアフラムの総面積で支えられていると考えられますが、
前後のサスペンションのテコ比がかなり大きいので、前後の球の内部では約半分の容積に圧縮されているでしょう。 (この計算はサスペンションの項で、詳しく論じましょう。)

■コメント
 サスペンション球の内部の窒素ガスの圧力はゴム製ダイヤフラムを窒素ガスが通過
するので徐々に低下して約 3 年で交換するか、分解式ではダイアフラム交換と再ガス封入をする必要が生じます。これはガスが負荷で強く圧縮された状態が続くからです。使用しない状態で保存すれば、10年以上まったくガス圧は低下しないのです。 この事はご紹介した J.B.M. の Don James も記載していますし、私自身 GS, DS で経験しています。
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◆アドバイス
  写真にお示ししているように、私は車庫にシトロエンを停めると直ぐにメインフレームの4角にジャッキ(市販されている太い排水用エンビ管)をかって油圧を全て抜くようにしています。勿論、メインアキウムレターも同様です。 (この事は後でメインアキウムレターの項で述べます)
 負荷圧力を除去するのと同様に、車高を MAX. にするのを出来るだけ止める事です。理由は、スフェアに最大圧 (140 bar ) が掛かり内部のガスが最大に圧縮されてしまうからです。
 以上の注意をすることで、あなたのハドロニューマチック・シトロエンのスフェアの寿命は確実に 2 倍に延びるでしょう。 また直ぐにストック用のスフェアを購入して保存するべきです。
by citroenDS | 2005-01-22 01:02 | DS の整備と解説


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