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[ DS の CAMSHAFT & PULLEY の強度を考える ]
[ DS のカムシャフトの問題点 ]
◇コメント
 DS の補機類への出力軸はカムシャフトであることが、普通の車とは異なる「特徴」になっていますが、これは DS のエンジン・トランスミッションが普通の車とは前後逆に搭載されているからです。このことは最初からデザイン上の問題を解決する為であったとしても、DS の最大の「弱点」になっているのです。 本来が Cam for HP pump, Water Pump & Pinion と書いてありますように、負荷の大きくなったオルタネーターやエア・コン用には設計されていないのです。この問題は CX になっても改善されませんでした。
 出力軸はエンジンの最後部(室内に張り出している) に於いて、カム軸はダブルのタイミング・チェーンでクランク軸で駆動されているのですが、その回転比に就いては別項にして記述します。
 今回は "DE" エンジンを紹介するチャンスに恵まれましたので、"DX" エンジンのカムシャフトに就いて考えてみる機会にしたいと思います。
 Mr.Jerome のブログ ( id 19p.over-blog.com.) の写真を見ていましたら、カムシャフトとプーリーの接続は 1 個の凹凸で噛み合い、ボルトとワッシャでネジ留めされていました。なるほど、Traction Avant のエンジンに近いものだなー DE エンジンは・・・と思っていた所、カムシャフトを見ると CX のものに似た「均等な歯」( スプライン)が付いた写真がありました。そこで「これはどうしたことなのだ」と質問し確認しました。彼は親切にもわざわざ「私のブログ用」の写真に説明まで入れてメイルに添付してくれたのです!彼は英語があまり得意ではないと自分では言っているのですが、私だって大したことはなく「同じ程度」です。
 結論を先に言えば、古い "DE" エンジンではカムシャフトが二分割されており、プーリー・シャフトがギヤ・ボックス・ハウジングの部分で差し込まれて 1本になっていますが、カム・シャフトというものが 1本の鉄の棒ではなくて、多くの部分の集合体ではないか?と考えることになります。そうなると "DE" も "DX" も無く「出力軸」として根本的に「不適当」なことになるのです!

 そこで「大車林」で「カムシャフト」を調べてみました。バルブを作動させるために円盤の一部に突起を設けた部分と、ジャーナル部( 回転軸部分 )とを軸部で連結した回転軸。軸の前端や後端、あるいは中央部に駆動用のスプロケットやギヤを取り付けるフランジ部がある。クランクシャフトと同期して回転し、この突起部( カム部 )でタペットやロッカーアームを介してバルブを開閉する。 4 ストロークエンジンではクランクシャフトの 2 分の 1 の回転速度で常時駆動される。( 後略 )と記載されていました!
 何と私は「馬鹿な質問」を Jerome にしてしまったのだろうか? どおりで、カムシャフトを調整する機械と思われる写真が何度も出ていたのだ。 結局は、軸部の強度を議論しているのであり「出力軸」として不適当であるとの問題には何ら変わりはないのです・・・

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▲ 1:Camshaft. 10:Water Pump Pulley. 11:Bearing Hausing. 12:Pulley Nut. 17:Searing Bush.
** Owners Warkshop Manual には、Pulley の前後には Washer が記載されています。 *この項は当 BLOG: 2005-05-04 を参照して下さい。▲

◆解説
 CITROEN: MODELES"D" 1972, 661 TOME 1 から、私達の知っている DS エンジンのカムシャフト付近の図の前半部分を載せました。この通りであることを私の DS 23 のエンジン写真で示しましたが、この図ではカムシャフトは 1 本で造られています。つまりカムシャフトの先端にプーリーが直接に取り付けられています。これは全ての DX エンジンで共通であることは CITROEN 19,20,21,23 Owners Workshop Manual Autobook 742 に記載されています。この本が 100% 信頼できるとは言いかねますが、少なくともディストリビューターがエンジンの最前部にあるエンジンでは「同一」でしょう。 そうは申しても、これらのエンジンでも後部にはディストリビューターがあった場所には「蓋」がしてあるのですから DS のエンジンの古さを「改めて」感ぜざるを得ません。 従って、カムシャフトの強度不足を、プリーやベルトといった「より安価な部品」が壊れることによって「吸収」していると考えられます。これは SM の特殊な「スリップすれば溶ける」ベルトによって重要部分を守っているのと同様でしょう。
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▲カムシャフトの歯の幅を広くして「強化」しているものと解せられます。 2005-05-04 の記載の通りにワッシャを入れてナットを締めた方が PULLEY の回転の安定と強化が期待されます。このベアリングは NSK ですが、フランスでは相変わらず SKF でした。▼
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▼エンジンの載せ替えのときに S ディーラーの工場長が「カムシャフトを見れば」エンジンの良し悪しは判ると言っていました。私の DS 23 エンジンです。▼
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▼ Mr.Jerome BECE が送信してくれた写真で、自分の BLOG には矢印の表示はないので、私の為に作ってくれたものだ! ディストリビューター用のピ二オン・ギヤがカムシャフトの後の方にだけあるのが解かる。カムは 1 気筒当り 2 個ですから 8 個あります。その他に前端部、中央部、後端部に軸を固定するジャーナル部、デスビ用のピ二オン・ギヤから成ります。恐らく、カム軸に後端部から順に挿入し固定されたのでしょう。 ← FRONT の先端に歯(スプライン)があります。
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▼ DX エンジンでは、このギヤボックス側=クラッチ・ハウジングの左上隅にはダストシールがあり、カムシャフトを通してから「写真上 2 番目」のよおにカム・ベアリングを入れる。 "DE"エンジンでは「写真」のよおに、内部にプーリー・シャフトの「受け部分」が見える。その前方にべヤリングを入れる。この汚い塊?が見事に新品に生まれ変わるのは見事だ!クラッチのスラスト・ベアリングもかなり「キャシャ」に見える。
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▼上の写真のギヤ・ボックスを上から見たところも「説明を入れて」送ってくれた。勿論、私のため用に「黄色」でプーリー位置を、カム・シャフトを入れる位置と方向も「赤」で説明書きを付けてくれたので良く解かる。
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プーリーとプーリー・シャフトには凹凸ではなくて、鉄片を打ち込むのではないかと見えるのです。当然、ベアリングが入っています。取り付けにはボルトとワッシャですので、"DX"エンジンに比べると「一層」強度は不足しているでしょう。 設計上ではカム駆動のシングル・高圧ポンプでしたから、パワーステアリング用に 7-PISTON 高圧ポンプにしたのが「限界」だったのでは?と想像しますが・・・
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▲上のような錆びた汚いエンジンや関連部品が、下のように新品のようにレストアされるのを見られる。この項の結論はプーリーとその軸との接続が、多くの歯( スプライン)では無くて「1本の凹凸」しかなくて、ボルトとワッシャとで接続されていることです。"DE"エンジンとしてはこれでよかったのでしょう。▼

( SEE SOON !! : Mr.Jerome's BLOG-PHOTOS: id 19p.over-blog.com. 2006-10-16 )

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by citroenDS | 2006-10-30 19:19 | DS の整備と解説
[ HEAD-LAMP の種類と年式は Parts-Catalogue に !]
[ Head-Lamp の種類 (対称型、右側通行用)と年式 ]      ▼殆ど同じ型に見えるが「微妙に」カットが違う 2 灯式。対称型▼
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◆ CTA Service Holland b.v. Hogenweg 19 5411 LP Zeelands
FAX : 31-(0)-486-451666.
E mail : cata@cta service.nl. を Site で見つけて down-load したのですが、何とこれから ウィルス/スパイウエアーに入り込まれましたが、手動で System 32 まで入って ld 100 tmp に 0 を付けて「隔離」しました。便利なものは「厄介なものです」ね・・・そこで FAX を記載しました。 私の時代には、イギリスやアメリカへ「現金」を送金して、相手が受け取ったら部品、エンジン、ギヤボックスまで送ってもらったのですから、ある意味で良い時代でした。
 この会社のもとはスウェーデンです。このページでは CTA の宣伝をしている訳ではありません。

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▲ [ OLD TYPE ] と書いてありますが、レンズカットは下と同じですが H4 取り付けソケットが違います。 ↓ 私が手に入れたものと同型は下で 4 灯用。 私がスペアーに持っているものが右側で全く同型です。▼
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▼ VALEO の右側通行用。私の DS23 に付いて来たものと同じ型。取り付け金具が違うが、われわれには関係の無いもの。年式から 4 灯用。        それが私の所には一組あまっているのです!▼
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by citroenDS | 2006-10-24 21:27 | Citroen 資料紹介
[ from: 50th Anniversary of DS ]
◇コメント
 早いもので、もう 1 年が経ってしまいました。当ブログも「硬い内容」が続きましたので、 My Favorite Photo なるコナーをつくりました。「壁紙」にしても?と言った写真でも時々載せてみようか・・・と思います。取り合えずは、DS の 50 周年の SITE から拝借しましょう。 1 年たったのですから良いでしょう?・・・
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 ▲この選択の理由には、私の DS 23 と同色、同型であること、ビデオ撮影中?のご婦人の帽子や衣裳がマッチしている気がしたからですが、実はヘッド・ランプが上向きなので、「右側通行用」であることが「光反射」から解かることでもあります。( 理屈っぽい?)
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by citroenDS | 2006-10-19 22:47 | Citroen 資料紹介
[ DS 19 ,1956-57 : ドイツ版 CATALOGUE]
◆解説
 下に前回掲載したのと同時期の DS 19 ドイツ語版カタログです。上のなどはほぼ同一の図柄です。

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*これは 1 年後のカタログです。↓ ドイツのディーラーは CITROEN AUTOMOBIL A.G. .で KOLN にあります。
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by citroenDS | 2006-10-17 21:10 | DS/IDカタログ紹介
[ ID 19 1958: 北米版?]
◆解説:
 エンジン仕様: 1,911cc, 78×100mm, 66HP,等からすると DM 型ですから、1957年頃のカタログになります。また INDICATOR がアメリカ使用ですので「珍しい」ものです。バッテリーも未だ 6V ですから 1958年までになります。この頃のカタログは写真というよりも「絵」に近いものが多く、フランスの青、白、赤をイメージしています。上下を折って真ん中で合わせて、左右に又たたんだ簡単なカタログです。
 


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▼FRONT-INDICATOR, ROOF-INDICATOR, TAIL-LAMPS 共にアメリカ仕様↓
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▼FRONT-WHEEL DRIVE と 11H.P. CITROEN とは TRACTION AVANT のことで、Height-Corrector を [ ROBOT Corrector ] と書いています。
 また、HYDRO-PNEUMATIC SUSPENSION の項では未だ 15 H.P.six-cylinder model in 1954 と記載していますから、DS/ ID が登場して間もないころのカタログになります。↓

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▲MADE IN FRANCE ・Imp H. Dievol ・ Paris としか書いてありません。↑
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by citroenDS | 2006-10-17 15:15 | DS/IDカタログ紹介
[ DS/ID には BX/CX-SPHERE を使う ]
[ id19p1966.over.blog.com.: Mr.Jerome BECE のBLOG より]
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◇コメント

 上記のサイトの写真はすばらしく、いつも皆さんに推薦していますが、最近「よーく」見直したところ、思わぬ発見をしましたので、写真を使用させてもらいました。 今彼がレストアしている ID 19 P 1966 は「ひどい状態」にみえるのですが、それを魔法のように「ピカピカ」にしてしまう技術には驚くばかりです。
 それはさて置き、良く内容を検討して見ますと、この ID 19 にはメイン・アキュムレーターもサスペンション・スフェアにも[ Welded-Type] が装着されているのです。それも外観に相応しく「ひどく錆びて油汚れ」しています。従って、長年にわたり LHS を使用されていたと想像されます!!!
 最近載っていました DS 23 IE にも、恐らく CX 用が着いていましたので、現在では私と同様に「分解式」を使っていたオウナーは「溶接式」に変えているようです。
 *しかし、GS 用ではないことは事実です!c0019483_1417941.jpg
赤いスプレーや赤いゴム栓などは LHS 用 ↓
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◆解説
 古い ID のハイトコレクターを分解組み立てしたのですが、最近 LHS 用のハイトコレクター( 赤い印と赤いチューブが付いている) を新しく購入したことです。普通ならこの機会に LHM に変更した方がと見ていたのですが、どうも LHS 仕様車の方が「希少価値がある」ようです。
 しかし、 BX,CX 用のサスペンション球の箱には [ Should only be used with green mineral fluid LHM PLUS ] と書いてありますので一時的なのでしょうが、メイン・アキウムレーターの方はどうでしょうか? 聞いてみましょう。
 とにかく、現在のわれわれに関係あることは、DS 21,23 には CX 用 ( CX のサスペンション球は REAR は BX と共用なのです。このことは拙著 WHAT'S DS に記載済 ) を使用するのは正解でした。
 フロントに就いては "WHY CITROEN Q&A" に掲載していますが、BX -Sphere には 6種類もあります。
 SPHERE: 3XB 95 564 253: ESS (400cc,1360) 95 630 572: BL(500cc,SAUF) 96 024 653: (500cc,Diesel, 19TRS) 96 002 148: BL (400cc, GTI 16S) 96 630 610, (400cc, IE-D) 96 024 568: BL (400cc, 19GTI ) 封入圧力にも 19GTI :45bar と 16TRS:55bar と 2種類がありました。従って BX 用と言っても「どれか?」は解からないし、日本で入手できる訳でもないのですが・・・
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by citroenDS | 2006-10-15 14:14 | Citroen 資料紹介
[ ミニチュアカーの紹介(19) France DINKY:DS19]
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[ France-DINKY: DS 19]
◇コメント

 前項でデビュー時の DS 19 に付いて記載したので、ミニカーの方もこれに合わせて再度 France DINKY のDS 19 の同じ色合いのモデルを紹介することにしました。 DS の 50 周年記念行事のデビュー時を再現した写真がありますので、普段とは違った方向から私も撮ってみました。これでも目で見るよりも近いものが大きく見えると言う実物写真ほどにはなりません。ミニチュアカーを造る時には、このように「デフォルメ」するのが常識になっているようです。このミニカーはアイボリー色のボディーに黒に近い茶色のルーフの 2-TONE になっていますが、風船の上に載って水に浮かんでいるオレンジ色ボディーにアイボリー色のルーフのものもあります。



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◆解説
 この時期の France-DYNKY の品番は 20 番台の数字にアルファベットの組み合わせになっています。このモデルも "24 C"ですが「世界のミニカー」には 24 CP となっています。デビュー時の DS 19 は白タイヤをはいているのが本当です!

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 参考の為に所有の「少しずつ違っている」 3 台の裏板 ( ブリキ板 )を撮りました。向かって左から→右へと古い順です。左が上の写真であるウインドーガラスの無い白タイヤ、中がウインドウガラス付で角ばった白タイヤ、右がウインドウガラス付黒タイヤ( 後 2車はオレンジ色 ) です。 40 年位前に買った値段 ( ¥10,000 ) が付いていましたが、今はいくらでしょうか? 良くみると裏板の塗装にも違いがあります。ガラスもシートもありませんが、ダッシュボードは当時のデザインのままに良く作られています。
 追加にダークグリーンのモデルも載せておきましょう。
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by citroenDS | 2006-10-13 23:43 | DS minicar 紹介
[ デビュー時の DS 19 の真の姿は!]
c0019483_23115530.jpg[ 最初の DS 19 ( 1955 年デビュー時 )の真の構造に就いて]
◇コメント
 私が最初に疑問に思い記載したのは、ブレーキ・アキウムレターが前後独立に存在した油圧回路図が「誤りであると思はれる」にも拘らず、二玄社刊:シトローエンや BROOKLANDS BOOK に載っているのには「どこかに」その原本があるに違いないと考えたのでした。しかし当時はこの回路図が数年の間のものであり、短期間に何度も「変更された」とは想像も出来ずに、1960 年のカタログ掲載の「説明図」から、この油圧回路図は間違いであろうと結論したのでした。
 従って、これらの真実を教えてくれた CG:"ORIGINAL CITROEN DS"本には感謝するべきが本筋であろうかとも言えるのですが、実際には「かなりの誤記事」があり、その指摘に時間を取られてしまい、感謝の度合いは薄れてしまいました。これが私の「本心」です。 ここで DS 19 デビュー時の「真の姿」をまとめて記載し総括したいと思いました。それは同時に DS のような車が「最初から完成した姿である筈がない」と言う私の最初からの主張でもあります。その大部分は既に過去数ヶ月間に渡り記載して来ましたので、簡単な図と箇条書になります。またどのように「改善された」のかも付け加えましょう。
 結論として言うならば、 1966 年型になって( 即ち、10 年も掛かって) DS は初めて完成したのです!この事実からすれば、完成してから 10 年間生産されたとさえ言えるのです。そして DS/ID の 1/10 以上が何等かの不良部分を持ったままで販売されたと言えるでしょう。
◆解説
1) ハイドロニュウマチック・サスペンション: Hydro-Pneumatic-Suspension:
 このシステム自体は完成していたとするべきでしょう。それは既に 1954~55 年に T.A. 15-Six-H が生産されていたこと、その Road-Test がされており、レポートにてかなり正確に評価されている事実からです。しかし全く問題が無かった訳ではありません。
 ( 1-a ) このシステムを動かす作動油に大きな問題がありました。Castor-Oil → LHS2 に於いて低温特性に配慮すれば、高温で問題を生じてしまったようです。その意味で LHM の採用まで問題は続いたと言えるでしょう。
 ( 1-b ) ハイトコレクターの作動の不安定。T.A.15-Six-H より、この取り付け位置に問題があったのだろうと考えましたが、Autocar: 1955-10-14 に掲載されている Front Suspension の写真によれば、ハイトコレクターの取り付け場所は現在われわれが見る場所にあります。それでは「ダッシュ・ポット」が無かったのではと思うと存在していたようです。車高変位してから再度修正したとの記載が"ORIGINAL"本にありますので、この作動が不十分で「変位時に時間を遅れさせる」時間差の設定が早かったのでは・・と思います。私は実際にこの時差を早くする為に「ダッシュ・ポット」の針孔ワッシャの数を減らしたことがあります。当然、1-a ) の作動油の高温時の粘度低下も考えられます。
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 ( 1-c ) 1963 年以前のダンパーには「センター・ホール」が無く、代わりに 0.03mm の薄い鉄板がありました。これがセンター・ホールに替わったのも、低振動数での「揺れ特性」に影響しています。センターホールを拡大してみれば簡単に実験できます。
 ( 1-d ) バックオーダーを沢山に抱えて、各種の精密部品製造が間に合ったとは考えられず、恐らくはサスペンション系のオイル漏れは理論値よりも多かったでしょう。したがって、エンジン停止後に短時間で車高を失ったでしょう。この影響はハイドロニュウマティック・シトロエンを表現する「動物的な動作」の原因になったでしょう。
2) DS のブレーキ回路は完成していましたが、革新的なシステムに対する信頼性が一般消費者には充分ではなく、結果としてブレーキ・アキュムレーターを前後に独立して装備することになったものと考えます。 ID のブレーキ・システムの重ねての失敗は「論外」です。
3) クラッチ・コントロール: Hydraulic Clutch Control:
 ( 3-a )これが最大のテーマです。ギヤ・チェンジに関しては問題は無かったようです。単なる油圧による遠隔操作ですから当然問題のレベルが違います。 1 速がノンシンクロであったと言っても、停止してからギヤを入れるのは、ついこの間まで私達でも普通にやっていたことです。より安全のために "clutch-lock"が装備されたので、根本的な問題ではありません。シンクロ・ディレイ・ピストンにより、油圧の掛かる時間を遅らせたり油圧をコントロールしたりと良く考えたものです。
( 3-b ) ブレーキ、ギヤチェンジ及びクラッチの断続には、サスペンションに必要な油圧とは油圧レベルが違います。これをわれわれが実感するには、ボンネットを開けてバッテリーの( +)端子のスターター・リレーでエンジンを廻してみると、この程度の高圧ポンプの回転で、クラッチ・シリンダーがレバーを押し出し始めることが観察できます。

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 その為に初期には「低圧ポンプ」がウオーター・ポンプの横、現在の DS ではガバナーの位置にあったそうです。"ORIGINAL"本ではこの場所の説明写真が載せられていないのは残念です。
 そこで、BROOKLANDS BOOK: Autocar; DS 19 の頁から「イラスト」を載せておきます。実物写真が見られないのは、ブレーキ・アキュムレーター( 前後)が見られないのと同様です!
 この低圧ポンプをアクセルで回転を上げて、クラッチをつなぐための油圧を作るのです。それですから、クラッチをつなぐ操作はアクセル・ペダルを踏むことなのです。トルクの大きい 1st → 2nd への操作の時のみ旨くエンジン回転が合わないと「エンジン・ブレーキが掛かり」運転がスムースでないと「文句」が出るのですが、トルク型エンジンですからアクセルを軽く踏んだままにすれば良いのです。多少「レーシング」したって大したことではありません。

4) ブレーキ・コントロール: Brake Pressure Control Secret.
 今日までシトロエンのブレーキは高圧油圧を「単にバルブで開放してやるだけ」と一般に記載され、考えられて来ましたが、そうではありません。油圧の作用する面積比により踏む力の約 2 倍になるように設計されているのです。この部分に対する誤解が最も深刻であろうと考えます。
 この点では ID では 2 回の失敗の後で、簡易型の DS タイプを採用することになりました。この点の解説の誤りも問題でしょう。
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5) Castor-Oil 及び LHS2 :
 このフルードを作動油として使用せねばならなかった故に発生した「冷却系」の問題点は、ラジエータ・ダクトを閉鎖型にせず、「排気系」をフロントのラジエーターの下にまで持ち込んだことです。そしてアキュムレーター 3 個をその付近に並べたのです。 それにより作動油の低温での流動性は確保できましたが、一方でエンジンルームの冷却不良を発生させ排熱口をフェンダーに設けねばならなかったようです。
6) LHM が開発採用された時点が、本当に DS が完成したのですから、技術的には DS の発表は早過ぎたと思います。ここでも 10 年後が本当の姿であるとするべきでしょう。 1970 年に生産がピークに達したとするのも「さもありなん」と考えるのです。

 
   
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by citroenDS | 2006-10-13 21:21 | Citroen 資料紹介
[ イギリス生産: DS の HEAD-LAMPS ]
[ イギリス生産車の Head-Lamp に就いて]
◇コメント
 イギリス連邦国ではイギリス生産車は輸入関税が減免されたが、その条件を満たすには価格のイギリス製部品類の比率が 51% を超える必要があった。そのためにはヘッドライトも「小径」であったと「写真説明」の場所に小さく記載されています。この著者 J.Reynolds は、補助ランプ、パーキングランプ等に就いては「ひつこく」記載しているのですが、どうしてか[ HEAD-LAMP]に就いては記載をしたがらない所があるようです・・・と指摘して来ました。
 しかし、写真を見れば「小径」であることはすぐに分かります。その理由が英国での部品調達に原因していることを明確にすれば「事たれり」では無いでしょう? Lucas は何故「同じ径のヘッド・ランプ」を製造しなかったのでしょうか? それにオリジナルに比べて「格好が悪い」ので、後日交換するオウナーが多かったであろうことも事実でしょう。何か灯火に関する法規でもあったのでしょうか? これは西武自販が SM を売ったのですが、「格好の悪い」アメリカ型を当時 25万円掛けてオリジナルに皆さん戻したのですから、同じことが言えるでしょう。
◆解説
 そこで再び BROOKLANDS BOOKS で調べてみましたが、信頼できるのは[ The Motor],[ Autocar]位です!その他はかなり怪しいところがあります。
 最初が Autocar: Road Test: No.1995: Citroen DW 1964-9 です。P-44 に EQUIPMENT の項にやっと見つけました。 Headlamps : Lucas Sealed Beam, 45-40 watt と記載してありました!これは、たまたま記載されていたので、恐らく 1956 年からでしょう。"ORIGINAL"本でも 1960 年型の写真が載っています。Lucas の Sealed-Lamp であり小径であるので、メッキリムの幅が広いだけではなくて、二段になっているようです。
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 次が同じ Autocar; Road Test: No.2056: Citroen(DS21) Pallas M: 1965-3 です。これに掲載されているのは、"ORIGINAL"本にも載っている「白い DS 21」と同じ年式で、Head-Lamp は「普通の径」のヘッドランプが装着されています。 P-60, EQUIPMENT: Headlamps: Cibie Sealed Beam と記載されています。この頃になると「ヨーソ・バルブ」と書いてあります。
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▲シールドビーム・ランプ: sealed beam lamp.
 前面レンズと反射鏡をガラスで成型、溶着し、完全密封した前照灯であり、2 灯式と 4 灯式がある。寸法、性能は規定されている。反射鏡はアルミの真空蒸散処理後、アンカーを介してフィラメントを溶着するが、この過程でフィラメントと反射鏡の相対位置を精度よく調整できるので、製品の配光性能はバラツキが少ない。( 大車林 )
となっているが、アメリカ仕様は合衆国の法規に合わせてシールドビーム・ランプに変更したと記載されているが、イギリス生産車に於いては「部品調達率」の為なのか?合衆国同様の法規に従ったものなのかは記載されていない。また、購入者はミスマッチの故に、または寿命による交換時に、マッチしたサイズのものにしなかったのか?も記載されていない。 あるいは Lucas が「数量が少ない」ので DS/ID 用を生産しなかったのかも説明がない。
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by citroenDS | 2006-10-07 22:43 | Citroen 資料紹介
[ CASTOR-OIL と最初期 DS19 ]
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[初期 DS の理解に必要な事]
◆コメント
 最初期の DS19 を考える時、どうしても「行き当たる問題」は LHS ( 植物油系化学合成油です) に付いて私に殆ど知識が無いことです。この問題は LHM が開発されるまでの DS を支配してきた大問題であったと言うことは、先回 T.A.15 Six H に付いて紹介している時に気が付きました。そこでCG"ORIGINAL"本のこの項とブレーキ・フルードの項を読んでみましたが、全く異なった物質であるとは考えられず、むしろ「同一のもの」を違うように書いてあると想像されました。すなわち、初期 DS19には( 15 Six H )との期間からも「ブレーキ・フルード」とあまり違ったものになる時間がないと思いました。

◆"ORIGINAL DS"本には 37頁[ 油圧システム用オイル]の項には以下のように記載されています。「1955~64年までの初期モデルでは、様々なヒマシ油をベースにした赤いオイル CH12 (カストロール HF,ロッキードHD19)を使用していた。その後、1964年から 66年までの間は、LHS2 という化学合成された赤いオイルに変わった。・・中略・・いかなるシトロエンの油圧システムにも、普通のブレーキフルードは使ってはいけない。」
 しかるに、80頁の ID の「ブレーキ」の項には以下の記載があり「矛盾」があると考えられます。「1958年初めに登場の 2番めのブレーキシステムは、マスターシリンダーには、フロントサスペンションの油圧回路とを結ぶパイプが追加されており、作動ストロークが一定以上を超えると制御バルブが開いて、サスペンションの高圧オイルが前後ブレーキに送られる・・・中略・・・高圧のオイルがマスターシリンダー内に流れ込み、ブレーキ用リザーバータンクに逆流。メインリザーバーへ戻るオーバーフローパイプは・・・」と結局は両者が「混合してしまう」ことが条件にあると思はれます!
このシステムの設計はどうなっているのでしょうか?疑問を持ち続けていました。
 さて、BROOKLANDS BOOKS を「隅から隅まで」読んでみますと、いろいろな事実が記載されています。この問題については、The Motor:Road Test No.20/58 :ID 19 De Luxe ,P-19 の Maintenance の項の [ Brake Fluid ]・・・Castrol H.F. と書いてあるではありませんか!これでは「油圧システムにはブレーキフルードは使ってはいけない」と記載されているのに、同じ[ Castrol H.F.] が共に使われていては「おかしくはありませんか?」 それとも、「油圧用オイル」が「ブレーキ用フルード」に使用してあるのでしょうか?

 そこで「植物性油脂」に就いて[ 万有大百科事典 ]で調べてみました。この中で特に「ひまし油= Castor-Oil」に関する性質が DS19 の初期の変遷の根底にあるように思います。
◇解説
 ”油脂”は脂肪酸とグリセリンのエステルすなわちグリセリドを主成分とする物質で、油脂のうち常温で固体のものを脂肪と、液状のものを油( oil )といいます。常温での状態によってこのように分けても、その状態は「温度」によって相互に変化するのですから、明瞭にこれらを区別することは出来ないのです。ここが重要なのです!最初の説明=脂肪は脂肪酸とグリセリンに分解されることは、義務教育のレベルで教えられていますから、ここまでは難しいことではありません。グリセリンは 2価アルコールですし、脂肪酸は TV コマーシャルでお馴染みでしょう。「ひまし油」であろうと「化学合成油」であろうと、植物油は CH と OH基を持っていることは同一です。ここで「酸化され易いこと」と「吸水性を持つこと」等の性質が生まれます。燃料タンクの水抜き剤は 100% アルコールで、この性質を利用しています。 ここでかなりの解説をとばして「油の分類」にしますと、油脂→脂肪油→植物油→不乾性油と進みますと、この内で「ひまし油」に至ります。さて「ひまし油」の主成分はジオキシステアリン酸で、ここからが重要になりますが、凝固点(℃), -18~-10 であることです。日本ならばより低い温度である「椿油」が使われたでしょう。「オリーブ油」は 0~6 ですので使用できないのです。
 要するに、より低温まで「オイル」でなくては使用出来ないと言うことです。スエーデンには古くからシトロエンのディーラーがありましたし、-20 ℃位の低温は珍しくないでしょう。これは北欧ならずともヨーロッパの冬では低温特性が大切だったのか!と思いました。これは私の想像ではなくて事実でしょう。また、ブレーキ・フルードとしても同一条件ですから、エンジンルームを保温する設計が欠かせないことが理解できるでしょう。メイン・マフラーが車の先端部=ラジエーターの下に持って来られている理由でしょう。
 もう一方の条件は「高温特性」でしょうが、エンジンルームの温度がいくら高くなっても「ひまし油」としては問題はなかったと考えます。それでは、どうして DS19;'60~'62 には両フェンダーに換気用グリルが必要になったのでしょうか? そこで、これは「どこの換気か?」と Mr.Jerome に良く解かる写真と説明をお願いして、送ってもらったのが下の写真です。エンジンルームの換気で、写真では「蓋がされている」ことになります。フランスでは [ ASH-TRAY ]=灰皿と呼ばれていたそうです。何故この期間だけなのか?等の理由は解からないようです。兎に角、このような回答ですので、室内の換気用であろう・・と記載した部分を訂正します!!
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↑ 蓋がされているようですが、ここは本来外気が通るようにフェンダーが造られている所ですので、内部を見たいものです↑
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← ID 19 P 1957 のブレーキフルード・リザーバー( LOCKHEED )
◎この理解のためには、ブレーキ・フルードに就いて「大車林」から引用しましょう。「ブレーキやクラッチの作動液として、圧力の伝達に用いられる液体。石油系の潤滑油ではなく、エチレングリコールやグリコールエーテルなどの石油化学製品を主とした合成化学溶剤からなっている。水分が入りこんだときにベーパーロックを避けるため、沸点が高く吸湿性を持っている。水分含有量が増えたものでは、新品で沸点が 200 ℃以上あったものが半分に近く下がってしまう」と記載されています。これではマフラーの上で、ラジエーターの隣では問題が起こる心配が出てくるでしょう。
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   ↑1960-DS-19: 排気系とメイン・アキュムレーター/レギュレーター、リザーバー等の位置関係に問題がありそうだ!ギヤボックスの直ぐ左側にあるし、下にはメイン・マフラーがあるのです!冷却ダクトも不完全だ!

◎化学合成と言う意味は、LHS でもここで使っている意味でも、分離した分子式など明瞭な物質を求められる性能に合わせて「合成」するので、石油系でも植物油系でもそれほどの違いはないと理解するべきです。

▲高圧作動油としては別の問題があります。ベイパーロックということは、水が水蒸気になる( 気体)のですが、高圧下では気体は圧縮されて「存在出来ない」のです。従ってハイドロニューマティック系としては問題は発生しない筈なのです。しかし「水分は高温、高圧下」ではオイルと化学反応が発生するのかも知れません。私はこの有機化学の分野は特に解からないので、どなたか教えてください!

▼いずれにせよ、初期 DS19 の「改善は頻繁」に行はれていますから、次回、もう一度 CG"ORIGINAL"本の総括を兼ねて、最初期 DS19 の「変遷」をまとめておきましょう。
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by citroenDS | 2006-10-01 22:20 | Citroen 資料紹介