[ギヤ・セレクト・レバーの操作と作動]
■コメント
 DXのギヤ・セレクトはステアリング・ホイールを握ったままで、操作できるように設計されています。少なくとも手前にある2、3、4速はそのままドライバーの右手をステアリング・ホイールの縁を滑らせる感覚で自由に動かせばよい素晴らしいものです。特に、3,4速を自由にUP—DOWN させるキビキビした運転を可能にするウレシイものです。力がいらないから出来ることであり、MTでは力が要るから右側面に移動してある訳です。
 この優れた設計を、どうしたことか「サムライ」でアラン・ドロンがステアリング・ホイールの間から操作しており、それが話題になったりしたようですが愚かなことでしょう。何か彼に意図があったのか? 或いは当時の流行が反映されているのかも知れませんが、まあDSのテアリング・ホイールが大径で1本スポークであったからこそ出来た話題でしょう。
 ついでにこのDSは60年代後半のもので盗難防止用にステアリングをロックする機構が装備されていないので、イグニッション・キーの位置も中央ですしドア・キーと同一の[RONIS]ですので10個も(映画では確か4個だった?)試せば盗めたようです。ステアリング・ホイールも73年より安全対策上、スポンジ入りのものに変更されており、イグニッション・キーの場所も左側根元に移動してステアリング・ロック付きになり、大型の[SIMPLEX]になっています。安全性と個性的なデザインとは、合い入れないものなのでしょうか。
 私のDS 23 pallas は、正確には1974年後期製ですので、初回車検ではステアリングがコラプシブルであることを要求されました。これは、日本の当時の基準に順ずるとする法律があるからだそうです。そこで、当時の輸入ディーラー:S社に聞いたところ、コラプシブル・ホイールで許可されたというのです。しかし、陸運がなかなかOKしないので、フランスのその道?の業者に’73年式であるとの書類を創ってもらいました。このようなことは、リヤビュウ・ミラーの位置がフロント・ウインドスクリーンの中央にあることでも問題になったそうです。
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 ▲ 次回には[Coffee Break]として、当時の有名なカタログを数点紹介しましょう。

■ 解説
 ギヤ・チェンジとクラッチ・コントロールに就いての解説はAutobook742;Owners Workshop Manualに分解図と解説がありますが、多数のピストン、スプリング、スライドバルブ等複雑極まりないもので、とても分解し組立られるものではありません。
 良くしたもので、この部分のトラブルは聞かないようですから、フロー・コントロール・バルブの清掃ぐらいがシロウトの可能な範囲でしょう。解説している人も本当に解っているのかな?と言ったところです。この油圧式ギヤ・セレクターが最大の難問です。
 ㈰ ニュートラルよりも前の部分、すなわち1速と後退は停止からですから、エンジン回転はアイドリングである点が2、3、4速とは異なります。従って、この場合にはガバナーのクラッチ・コントロールになります。クラッチには油圧はかかっていますから「切れた」状態で、ギヤ・セレクターで1速又は後退に既に入っていますから、エンジン回転が上がればクラッチは繋がり問題はありません。1速はシンクロと言われていますが間違えでしょう。
 しかし、一度もギヤ鳴りを経験していません。後退はゆっくりと押しながら右に倒さないと入りませんし、エンジン回転が高いとギヤ鳴りがします。
 ㈪ニュートラルより手前のギヤ、2、3、4速ではニュートラルを通過する際に全ての油圧は抜かれますから、ギヤ・ボックス内のスプリングによりニュートラルになります。
  ガバナーのコントロール回転よりも高い回転にありますから、弱い油圧が automatic gear changevalveにかかり、今度はキャブレーターのスロットル軸の回転、すなわちアクセルを踏むまでの少しの時間差によりギヤ・チェンジが行われ、アクセル操作によってクラッチ・コントロール(接続)は行われます。このように、初期のアクセル操作はエンジン回転のためではなく、クラッチ・コントロールなのです。
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 Autobookには以上のように解説されていますが、どうも実際にセレクターを操作した経験からは、少し違った部分があります。2、3、4速でアクセルを少し踏みっぱなしでも、ギヤ・チェンジはスムースに行われてしまいます。2、3、4速は、UP -DOWN共に実に見事に行われます! それも1秒掛からずにですから驚きです!

◆ アドバイス
 今までに記述してきたことから、DSではギヤ・パーキングが出来ない事がお解りになるでしょう。油圧が残っている間は可能ですが(ギヤを入れてから手動でクラッチを繋ぐレバー操作をする)時間の経過と共に油圧が低下してしまうとギヤが抜けてしまうからです。その上、別項で記載しますがパーキング・ブレーキが「ひどく頼りない」のです。フロント・ディスクに1本ワイヤーですので、車検の度に苦労しています。次に、今度は利点ですが、エンジンが回っている限りスターターは回らないのです。
 これはたいしたことではなくて、スターターのソレノイドにリレーが無く、代わりにバッテリーのプラス端子に大型リレーが取り付けられており、セレクター・レバーでその1次側をアースするのですが、チャージ・ランプのアース回路と共用されているので、エンジンが回って発電していれば当然「チャージ・ランプ」の両端は12Vであるからアースされないからです。[写真]のように大電流なので接点面積を大きく作ってあるのが解ります。エンジン・ルームからも底部のボタンでON出来ます。c0019483_19463164.jpg
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by citroenDS | 2005-02-17 20:05 | DS の整備と解説


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