エンジンを載せ替えて暫くするとニュートラルでのギヤ・ボクックスからの騒音が気になりはじめてきた。そこで、英国から輸入することにしたのだが、この選択は必ずしも正解ではなかったのかも知れない。その理由は、当時英国にはスラウ(Slough)工場があり、右ハンドルのDSを生産していたが当然MT仕様が主流であった。
どう考えても右ハンドルのsemi-automaticDSを生産するのは、油圧配管を考えてみても馬鹿馬鹿しいことだろう。実際、私がパーキング・ブレーキのワイアを輸入したらば、周りを石綿で覆った部品がきた。排気熱の遮断の為であるのは解るにしても「無駄な話」のように思われる。とはいうものの、右ハンドル仕様のセミ・オートマのDSがある! その英国で油圧式ギヤ・ボクックスの中古品を探しても絶対数が少ないから、あまり良い方法ではなかったかも知れないが、とにかくも、結果オーライではあった。 当時取り引きしていた英国のP,W氏はMT仕様の新品は持っているが、油圧式は中古であまり良いものでないとのことで、専門誌に「求む」広告を出すことになった。 実際、私のDSは走らない訳ではなかったのだから、半年程が過ぎていたが5万Km位の程度の良いものが見つかったからと船便で送られて来た。大きな木箱の中は、使えるからとドライブシャフトが一対、パワステ・ラックなどで一杯であった。 ■コメント 台車の上に載せて木製枠で固定する。ギヤ・ボックスの蓋は11mmボルトで締められているが、このボルトには3種類あるので記録しておくほうが良い。既に、このギヤ・ボックスはきれいにスチームクリーンされていたから、普通にはそのまま載せるだろうが、私の常で回転ブラシとレクトラクリーンで「ピカピカ」にして、シールコートで仕上げる。ボルトの頭の錆も当然おとす。全てを完了するには2週間は要した。 車に載せれば見える訳ではなし、数ヶ月も経てば元に戻ってしまう無駄な努力だと解っていても、これが「趣味」というものだ! しばらくは台車の上に飾って楽しむのもプロには出来ないことだろう。 □ 解説 蓋を開けた内部の「写真」の如くにギヤ、ベアリング共に素人には実に確りした美しいものに見える。蓋は配管の関係で安定させるために90度反時計方向に回した位置に置いて撮影しているから、2組のスプリングの中間部が右側のフォーク軸の突起にはまるニュートラル位置である。 油圧式ギヤ・ボックスはDS(DX)だけのものであるから、この際充分に勉強しておかなければならない。DS 23用はギヤオイルの注入孔が前上に新設されている。鋳肌にDX331 111 A と読める。 油圧シリンダーは前側に2個で(1、3速用)、後側に3個(2、4速、後退)である。ギヤ・セレクター用の配管(ドライバーまで)は長いが、他と異なり全て「銅メッキ」がしてある鉄製であるのは、5本が1組のシール・プレートに「蝋付け」であるからだろうか? この油圧シリンダーは言うまでもなく、手でギヤ・チェンジをする代わりに油圧によりピストンが働いてくれるものです。 ◆ アドバイス 運転席のギヤ・セレクターからの長い油圧配管5本は、ギヤ・ボックスの蓋の左側前上で各油圧シリンダーからの配管に接続されるのだが、5本まとめて面接続(シール・プレート)される特徴がある。このプレートは2枚あるから(前2本と後3本が別になっている)シール・リングは10個がはめ込まれているので「一回で決まるとは限らない。シトロエン純正よりもJ.B.M製のほうが成功率が高いことはパイプシーの項で書いた理由のように考えられます。「写真参照」 ギヤ・ボクックスのふたとギヤ・セレクト・シリンダーとの間からギヤオイルが滲む時には、固定ネジを緩めてギヤの山数を記録してから1cm程回して抜き出して、水道の水漏れ補修用の白テープを巻いて元の位置まで締め込んで固定すると止まる。 蓋とボックスとのシール剤はCURTYLONが指定だが、バスボンドで問題はない。 ギヤ・ボックスには後述するクラッチ・ロックやクラッチ・シリンダーが取り付けられるので、"D" model No 639/5より[ Piston of selector fork shafts ] の図にD31-4[Clutch Lock]の断面図も載せておきます。 ○ ギヤ・ノイズに就いて ニュートラル時のノイズはこれで解決したが、原因はプライマリー・シャフトにネジ込まれているドッグ・ナット(スターター用のクランク受け)が、何と外れているので、このようなことは普通考えられないから参考にはならないだろう。 一般的なギヤ・ノイズは4速でのものであり、ダイレクトでないからで「ノイズは あっても、無くても」正常であるとのA.Brodieの意見が正しいと思います。
by citroenDS
| 2005-02-01 15:46
| DS の整備と解説
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by citroenDS [ このブログに就いて ]
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