[ LHM は潤滑か循環か?]
[ 高圧油圧回路のクリアランスは潤滑のためか?循環させているのか?] 
◆はじめに
 KISAKI 氏の COMMENTS :サスペンション・シリンダーからの LHM はダストブーツに「かなりの量」が漏れ溜まってをり、半透明のリターン配管( RILSAN )からも内部を LHM が戻るのが見えるではないか!です。これらの問題は当然、「理論と実際」があることを前提にしなければなりません。「理論」を無視して「現実のみを優先」すれば、過去に犯した誤りを繰り返すだけで進歩はありませんし、時間の無駄でしかありません。
 ここで個人的に思い出すことがあります。思えば既に 20 年が経っていますが、当時( ハイドロニューマチックの 30 周年の頃 ) CG では田辺憲一氏が BX の TEST REPORT を書いておられた時でした。サスペンションに当たりが付いてきたので、抵抗感が全く無くなって最高の乗り味になって来た・・と言った主旨の記事を書かれて、LHM は「循環して」リザーバーにもどるとの説明も記載されたと思います。何分にも時が 20 年もたっており、CG誌も重要なもの以外は処分していますので正確には確認できません。主旨は間違いの無いことです。これに対して、私はサスペンション・シリンダーとピストンとの間には LHM の「潤滑」のために 1~3 μの精度で作製されているのであり、「循環する」ようには設計されたのではないこと、やむなく漏れたものがリザーバー・タンクに戻るのは「結果」でしかないと申し入れたものです!また、車体がリヤーから下がると記載されたので、車重の重い前から下がるのが当然であるとも注意申し上げたところ、サスペンション球の圧測定をして「交換しなくてもよい」交換をして余計な出費をした、とも書かれたことも思い出しています。それでいて、カーグラ TV には「彼と対談」をし ( 私の自宅で撮影した) のですから、個人的には「どうも思っていない」関係でした。それで良いと思っていますが、私の方にも間違い?と言えることがあります。
 BX ではサスペンション・シリンダーの構造が前後で異なっており、前のストラット型のほうが漏れにくいようでした。このように、理論と現実とは「不一致」な部分があるのは当然ですが、理論を無視しては議論にはなりません。シトロエンの場合にはこれが多過ぎたのです!というよりも、理論が「難しくて・・」現実の感覚が優先されて「不思議」が多すぎました。この点を「反省する」ことが私の主張です!「理論の優先」がシトロエンには必要なのです。それで「丁度良いレベル」になると考えています。私の BLOG を見てくださる方は良く解かって下さっていると思います。
 (1) サスペンションが一番油圧が高いこと=何と言っても車重を支えるのが一番だから LHM の漏れも最大の筈です。
 (2) 車高が下がることが現実的に見えますし必ず起こること。 従って漏れる油量と速度が計算できることです。
 (3) 車高が下がる時間の統計を以前クラブで取ったことがあるのです!GS,CX,BX でしたが、前輪が 1 時間前後、後輪が数時間から1日でした。恐らく、メーター 1回り以上の DS/ID ではWIKIPEDIA ではありませんが、数秒???~数時間でしょう。私がこの秒を分に訂正したのです。

↓左右変換してあります(左図)'67年以前のRubber-seal 型   (右図) 後期のシリンダー・シール改良型 ('67-4 以降 Tefron-seal )↓
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 ○実際にはサスペンション・シリンダーとピストンとは上図のように、これらの間の精度である以外に下端のシーリングにも頼った構造であるのです。(2005-03 サスペンション形式:ダストブーツの交換を参照)

■解説
 ▲[ Suspension Cyrinder に付いて]
 サスペンション・シリンダーには 2種類があること。1967年以前のタイプはラバー・タイプでシールが入る部分の形状が直角では無く、斜めに削られたいるので新しいタイプのテフロン・シールを使えないので、シリンダー交換を要します。1967年 4月以降の DS/ID, SMでは掲載した右図のようなタイプになった。DON'T LET INTERNAL LEAKAGE OF SUSPENSION CYLINDERS GET YOUR CAR DOWN !  A MAJOR CAUSE OF RAPIDLY SINKING SUSPENSION. "PISTONS ARE TAPERED, SO NO CONE NEEDED.と書いてありますので、最初のハイトコレクター・スライドバルブが移動するまでの時間は、シリンダー・シール側からの LHM 漏れでしょう。それと [PISTONS ARE TAPERED]と書いてあることが気になります。( J.B.M.の資料より) 後側は寝ていますので、ご説のように「焼き付かない」ように設計されているかも知れません。また、シリンダーとピストンの材質の違いから来る「膨張率の違い」も気になります。いままでにも後輪ピストンが原因不明で「固着」した例を 3例知っています。
 ▲[加圧回路( feed pipe)がリターン回路になる!]
  これが一番重要なのですが、サスペンション・シリンダーの LHM は全てダストブーツを通ってリターンするのでしょうか?良く実際の現象を考えてみましょう。少し車高が下がってきた時、車高修正をするようにハイトコレクターにトーションバーから動きが伝わります。それはハイトコレクターのスライドバルブを加圧するように開きます。しかしながら、メイン・アキュムレーターの残圧ではサスペンション・シリンダーを加圧修正することは出来ません。それではこの回路はどうなるでしょうか?実は加圧する代わりに逆に「リターン回路」になってしまうのです!
 そこで SM のリターン回路図を載せました。 この場合に両者の間には[ PRIORITY VALVE ]があります。このバルブは約 80bar で前後のサスペンションへの加圧回路は閉じられて、ブレーキ回路のみが残されます。従って、それぞれのサスペンションの荷重によって必要であった油圧があったのですから、その時のシリンダー( スフェア)油圧を 150barとすれば 150 -80= 60bar 分が「加圧回路」からリザーバーに逆流し、これから後はストッパーでそれ以上は下がらないことになるでしょう。
 この説明から出る結論は「最初のハイトコレクターが開くまで」のみが「リターン回路」から戻る訳ですから、その量は「あまり多く無い」ことになります。
 閉鎖回路であるブレーキ系から回収するのは「別の意図」があるのでしょう。万一バルブが壊れたときに回収したいとか・・
 他の多くの小型スライド・バルブは本当に 1~3 μの精度を維持できますから、漏れは少量ですから rilsan-pipe を束ねてゴム管でリザーバーに回収し一部は大気に解放しています。
▲[ LHM の粘度の関係]
 これも北米の資料ですが、北米では LHMが入手し難いようで航空機用の作動油を代用する話がありましたが、少し粘度が高いようで「乗り心地」が硬くなるのですが、古いオイル漏れの多い DSには「オイル漏れ対策」になるとの記事を読んだことがあります。
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 ◎多分初期 DS 19 ではこのシリンダー下端のシールは無かったでしょう。作動油の漏れが多いので改良したのでしょう。このような想像が可能な状態であったことを、ORIGINAL 本は教えてくれました!
このように考えますと、初期 DS 19 ではサスペンション系の精度は実は相当低かったと想像されますから、エンジンをかけると車高が上がり、エンジンを止めると直ぐに下がってしまったのではと想像できます。それが後年までシトロエンのことを書くときには必ず「動物のような動き」と書き続けられるのでしょう。


 CG ORIGINAL CITROEN DS には、そのような「誤解を無くす」使命もあるのではないのでしょうか!
 
 
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by citroenDS | 2006-09-09 22:27 | Citroen 資料紹介


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