[Hydraulic Control of Clutch & Gearchange:日本語化(6)]
◆ Clutch Re-engagement Control. (C.R.C)
c0019483_222845.jpg
c0019483_2324041.jpg



c0019483_22473250.jpg

◇ コメント
 この項は比較的理解し易いと思います。この装置も Le DOUBLE CHEVRON に記載されていましたように、1965 年になって初めてギヤ・チェンジとクラッチ・コントロールの迅速化と共に、クラッチ・シリンダー油圧によってエンジンのオーバー・レブ防止装置が追加されたものです。( 注)シリンダー( 1)がクラッチ油圧に連動しており、カム( 2)の回転を制限する。
 これらのコントロールが、スプリングとスライド・バルブとの巧みな組み合わせ設計によって成し遂げられていることに驚かされるのです。しかし、この装置にしても、デビューから 10年を要していることに注目するべきでしょう。それにしても、私が長年にわたり主張してきましたように、DS の生産が終了してからでさえ理論的な理解は「DS の愛好者達の間でさえも」成されていなかった事です。この事実からも、DS のメンテナンスは本国フランスでさえ充分に成されたとは考えられません。 DS を輸入した多くの愛好家は気付いていることなのです。
 特に、自動車ジャーナリスト達は DS のスタイリングを「相も変わらずに」書いて「原稿料」を貰うことに、何の後めたさも感じることなしに過ごしてきたのです。数年前に「かなり今迄の書物よりはまし」なものが発刊されていたようですが( 最近知って注文したが・・) その本に対する評価は別の機会にしましょう。( 著者、訳者共に DS を整備した経験があるのでしょうか?)

◆ 解説
 1) 目的:この装置は素早く、革新的なクラッチの再接続を明確に保障するものです。この意味は、スロットル(つまり、アクセル・ペダルの踏み加減)によって、クラッチの接続速度を調整出来るようにすることであり、クラッチを素早く切ることも出来るようにしたのです。
 2) 油圧回路に於いて、Clutch RE-engagement Control (以後は "CRC" と記載しますが)は、ギヤ・セレクターとクラッチ( Slave を略します)シリンダーとの間に置かれています。その形状と実物を理解し易いように、「色分け」をした図と写真とを載せましたが、上下二つのシリンダーと間に調整ねじのあることが良く解かると思います。
 ( 1) はロッドとスプリングでクラッチ油圧が作用する圧力室から押し出され、キャブレターのプライマリー・シャフトに接続されている( 2) カムを押してスロットルが開くことを妨害しています。しかし、一方で ( 3) のローラー付きレバーで常に逆方向に押されていますが、これは ( 4) スプリングで( 6) レバーを引き合っています。( 5) のスプリングは( 10) のロッドを引いていますが、これは( 9) 調整カムで外部から微調節が出来るようになっています。このあたりは、 DS オウナーは実物と図から容易に理解できるでしょう。
 3) クラッチの切断:この作動は「早やければ、早い程よい」のですから、"CRC"はギヤ・セレクターからクラッチ・シリンダーへの作動油の流れを妨げてはいけません。
 ○クラッチが充分に接続されている位置から始めましょう。クラッチの切断時にギヤ・セレクターからの油圧は、先ず次の図に示されるⅠのようにバイパス・スライド・バルブの後の方( 8) を後方に動かします。それはこの後のスプリングが「一番弱く」出来ているからです。このスプリングの一番弱い所から自由に作動油はクラッチへ流れます。( 図-Ⅰ)
 ○さらに油圧が上昇すると、前のスライド・バルブ( 7)が前に動くと、"CRC"内部の弱いスプリングが伸びて、二番目のポートが開きます。このスライド・バルブが動くと、油圧は最高値に達し図-Ⅱの状態になります。( 図-Ⅱ) クラッチの切断は妨害するものが無いので早く行はれます。

 ○再接続:クラッチの接続への動きは、最初の段階は「早く」行はれる必要があり、第二段階としては急な接続を避けるために「ゆっくり」となることです。その為には最初は自由に、つずいてゆっくりになることです。
 リターン・パイプはギヤ・セレクターで接続されていますので、ギヤ・セレクターからレザーバーへ返ります。今度はⅠとⅡで行われた動きとは逆のことになります。
 ○図-Ⅲでは急速な油圧低下がおこります。スライド・バルブがリターン口を塞ぎ始めるまで、これは一方のスライド・バルブの作動油の圧が他方のリターン・レバーのスプリングの力以下になるからです。
 ○これは第一相:または「再接続の急速相」で、テキストに書かれたバイパス・バルブの中央位置の径は小さく、出口とギヤ・セレクターとの間です。油圧はバイパス・バルブの抵抗の為に、出口から出て下がり続けます。非常にゆっくりとです。( 第二相 )
 ◎クラッチの接続速度は、ドライバーにとっては変化していることが必要なのです。この接続速度の「変化位相」を達成するには、クラッチの接続の全時間を短くするには「急速相」を長くすることです。
 この変化可能な限界は、一方ではクラッチのスリップであり、他方では「がくがく」する接続です。
 運転時にはこの変化は、「カムの回転」で"CRC"の内部のスプリングの張力を変えることで得られるのです。
 加速時には、スライド・バルブの油圧は低下し、その結果、再接続の全時間は短くなります。 T1 から T2 になるのです。( 図:参照 )
c0019483_20504296.jpg
c0019483_1255950.jpg

*解説の直ぐ後にテキストに書いてない事項を先に部分の番号を付けて記載してしまいました。プライマリー・シャフトに接続されているカム( 2) をクラッチ・シリンダーに油圧がある時( クラッチが未接続の時 )には、ピストン( 1) はスプリングの力よりもその油圧室の圧力によってカムの方に押し出されます。この状態を赤色で書き足しておきました。**ここでも F = P ×S で考えています。
○スロットルを閉めるピストン: クラッチの再接続の時点では、エンジン速度は速過ぎない方が良いのですし、クラッチを切る時には制限されるのです。これは主としてドライバーがギヤ・ダウンした時に、アクセルを踏み続けてもクラッチの接続時にスムースでないと気が付かずにすむのです。
○クラッチ・シリンダーの油圧が上昇している間、この油圧はピストン( 1) を押し出しますが、この作動油の通過は 3つの溝を持った球を通過している間に勢いを低下させられて、油圧回路では避けたい「ハンマーリング」を防ぎます。(注)圧力のある回路では一般的に起こる圧の変動が管を伝わって「ガンと振動」すること。ハンマーを打つようなガンと振動がある。
 その結果、スロットルが閉まるのが「早過ぎる」のを防ぎます。このピストンが出るとカムの開くのを制限してクラッチが切れている間はエンジン回転の上昇を防止します。
 再接続の間は、クラッチ・シリンダーの油圧の低下速度に一致し、ピストン( 1)はリターン・スプリングによって元の位置に戻ります。
○クラッチ接続速度の微調節は、"CRC"内部の第二スプリング( 5) の調節によって行はれますが( 写真)スクリュウとナット式ですから、「締めこむ」と再接続時間は短くなります。( 9 )を廻してロッド( 10 )を引く。 
◎この項は、最初にも書きましたが、DS のオウナーは大抵知っていることでしょう。日本語化する人が日常的に DS を整備しているか否かが「重要」なのです。それでないと、今迄にも繰り返してきたように「変な所で間違いが起こる」のです。
◎油圧に関しては、その内に総括しますが、高圧油圧がバルブが開いて作動するのが「○か×」かのように記載されていますが、実際にはこの「シリーズ」でも学んだように、F = P×S で決まるのです。ですから、スライド・バルブの移動量によって開く「オリフィス」の面積S により「全てが決まる」のです。ブレーキの項で誤解があるようです。
[PR]
by citroenDS | 2006-07-29 14:44 | Citroen 資料紹介


<< [ CGの DS-Cabrio... [Hydraulic Cont... >>