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[Hydraulic Control of Clutch & Gearchange:日本語化(2)]
[ Flow Control Regulator = Gearchange Speed Regulation (→ Regulator) ]
◇コメント
 この原文ではタイトルの後に書いた説明といえる項になっていますが、前の普通のタイトルの方が良いと考えました。この項も容易に理解できるレベルですので「先に取り上げ」ました。目的の項に記載されていることは、先月にも触れておいたものです。但しギヤ・チェンジの早さだけでは無くてクラッチの断続速度にも影響すると思うのですが、取りあえず書いてある通りにしましょう。
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■解説
 ギヤ・チェンジ回路で働いている作動油は常に温度の影響を受けて同じ圧力では無いのです。この理由から、調整しなければ油圧装置の誤作動の元になるでしょう。この装置はギヤ・セレクターの上部入り口に取り付けられています。
 両端をプラグで塞がれたシリンダーで出来ており、中空ピストン、ワッシャ、小さな孔が中央にあるもの、外れてあるもの等で構成されているので、中を流れる作動油は流れを妨げられてピストンの最初の部分(右側)に力"F"が発生します。ピストンの中には精密に計算されたスプリングがあり、この力と対抗して内部のピストンを押しています。
[ 作動原理 ]
 この調整器に入った作動油は、上記のように流れを妨げられて "F" なる力を発生して「中空ピストン」が Outlet O( 図では inlet と記載してあるので訂正)を少しばかり閉じるように移動します。
● この "F" に対抗して、左側のリターン・スプリングには力 "T" が発生します。( 応力という)
● 加圧された作動油はフィルターやいろいろなワッシャを通過して、出口"O"からギヤ回路に供給されます。
● ピストンには一方では流体の力"F"で、他方で"F"の応力であるスプリングの力"T"と、この回路の背圧"F1"が作用しています。
 この"F+F1"の値によってピストンの位置が決まり、出口"O"の「開度」は大きくも、小さくもなります。従って、出口の大きさにより回路の油圧が調整されるのです。
● 力 "F1"は「変化する」ものですから、ギヤ・セレクターの中を流れる「流体抵抗」も同様に変化します。もしも、流体抵抗が小さい時は"F"と"F1"の値が減少して、出口を大きく開きますから回路の油圧は一定に保たれます。反対の条件の場合には、全く逆に作動しますから「作動油」の温度や粘度の影響を受けないのです。
●ナット"E"の位置はスプリングによる力"T"の値に影響を与えるので、決して変えてはいけません。
*この回路が私が油圧制御は温度や粘度の影響で作動が早くも遅くもなると主張していることを「否定する」のですが、日本の夏ではこの装置の「調整の限度を超えている」のではないか・・・と考えます。恐らくシトロエンの常で「低温対策」であろうと考えます。
その意味でも、右ハンドルの DS は設計とは逆になっているので、判断する上でこの点を考慮するべきでしょう。
**この装置を見ていると、ハイトコレクターやヘッドライトの動きを遅らせる装置=ダッシュポットと同じですね。
 小穴の開いた多くのワッシャはかなりの「流通抵抗」ですから、セレクターに急速に油圧が掛からないようにもしていると考えます。セレクターの内部は「時計のよう」ですから・・・   
 
by citroenDS | 2006-07-08 14:17 | Citroen 資料紹介


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