[フロント・ブレーキ]
■コメント
 DSのフロント・ブレーキは大量生産車としては初めてインボード・ディスクブレーキが採用された画期的なこととして知られています。ディスクブレーキですから他にはJaguar D-typeがあっただけと記憶しています。
 インボードということはトランスミッションに取り付けられているので、バネ下重量ではなくなりますから、DSの場合のようにディスクは直径30cmという大きなもので、キャリパーも大型の頑丈なものにすることが出来るのです。しかし、インボード・ブレーキの場合には負担はドライブシャフトにきますから、高価で車体の軽量化とは逆になる贅沢な設計です。
 「大車林」によりますと、設計上の制約や放熱が悪いといった問題があり採用された車は少ないと記載されています。しかし、シトロエンではこの時期には2CV, DS, SM, GSと全てのモデルに採用していたのは異例と言うべきでしょうか。
 CXは、さすがにエンジン・ミッションのレイアウトから採用できなかったのでしょう。 シトロエン社の経営問題もあったでしょう。しかしながら、DSのオウナー達はCXのアウトボード・キャリパーが、ブレーキを踏むと「開いて」しまうのを見て驚いたものでした。
 これらの、フロント・ブレーキ関係に就いてのCitroen-No611の図は、3-394/3/4,/5. [Front Brake Piping]に記載されていますが、これらはそれぞれID, D-super, D-special, DXのもので,私がDSと呼ぶモデルは、hydraulical-automatic-transmissionを載せているものですからDXと分類されている3-394/5になりますが、Hydraulical-automatic-transmissionではブレーキ配管はあまり意味が無く、ブレーキ系統から「キャブレター」と「ガバナー」への配管がより重要であり、これらによりクラッチ・コントロールをしている問題を無視してしまうように考えましたので省略しました。 また、フロント・ブレーキの分解図は4-451/1[Hydraulic-Front-Brakes] にありますが、これも写真でお示ししたほうが良いと考えました。(著作権の問題も考慮!)

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□解説
写真にはディーラー[S]工場でエンジンを載せ替えた時に撮影したものと、その3年 後に自宅ガレージでトランスミッションを交換した時のものがあります。配管がキレイなものが後者です。スチームクリーンだけでは汚れ落としに限界があります。
 新しく取り寄せたブレーキ・ディスク:parts number ,5405273,2枚で60ポンド。
 直径300mm、一枚の重量が6kgもあります。インボード・ディスクでなければ採用出来ない重量物です。CXのventilated-diskと比べると、その差に驚かされます。
 次に、ブレーキ・ユニット(キャリパーとピストン)は、トランスミッションに22mmボルト2本ずつで固定されています。これらのボルトは14kgmのトルクで締められていますから取り外すにはインパクトレンチが必要です。アルミ製鋳物に鉄製ネジを強く締めますと外す時に苦労しますから注意する必要があります。
 左右共に対角線にパイピングは残してありますが、ここまでピカピカに磨くには2日間を要しました。「写真参照」
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 ブレーキ配管は左側のユニットの右下に、右側は左下にそれぞれ接続されていますが、左側の三つ又ジョイントはサブフレムに固定されているので、これらの配管はコイル状に2,3回巻かれています。(ミッション側が振動するからです)「写真参照」
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◆アドバイス
 ここだけでも、パイプ・シールは、9mm用が10個以上使われています。 オイル漏れは無くて比較的楽に作業は進みますが、配管の汚れは一度は除去しておきたいことです。汚れの下は亜鉛メッキが落ちて錆が出始めていますから、レクトラクリーで 洗浄してワイヤーブラシで擦り落とします。キレイにしたら亜鉛塗料を刷毛塗りします。こんな作業はプロはしてくれませんから、シロウト冥利につきるものと思うべきなのです!

●参考
  DX( 油圧によるクラッチ・コントロール)では、キャリパーの左側上はキャブレータに接続されて、ガスを絞ってエンジン回転をおとし、キャリパーの右上はガバナーに接続されて、それぞれクラッチへの油圧をコントロールして、ブレーキ・ペダルを踏むとエンジン回転が落ちてクラッチが切れ、ペダルを離すとエンジン回転が上がって半クラッチになるのです。(勿論、上手く調整するのだが…)
*この問題は、DXのメイン・テーマですから、別項目で詳細に記載することにします。
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by citroenDS | 2005-01-18 17:03 | DS の整備と解説


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