[キャブレターの交換]
■コメント
 英国からキャブレターの新品を入手したことに付いては、既にキャブレターによるクラッチ・コントロールの項で述べましたが、これは、私のDSのキャブに不都合を感じていたからではありません。否、むしろまあ程度は良い方だろうと考えていました。そこへ新品があり安くすると言っているがどうする・・・との情報に、新品なら買っておこうと思った程度のことでしかなかったのです。せっかく買ったのだから、交換すればより好調になるだろうと始めた所、4隅のナットを外したが、古いキャブはボルトに引っかかって上に出てこないのです。以前から、キャブは熱で変形すると聞いていましたから、これのことか・・・とゆっくりと動かして取り出したのですが、思いの外キャブ本体が歪んでおり、シャフトの軸受まで「楕円」になっていました。従って、ここからアイドリング時には、かなりの空気が吸い込まれていたと思われます。
 この原因は私の観察しました所、インテイク・マニホールドとキヤブレターとの間にあるインシュレーターが中央部分で徐々に膨張した結果、キャブをゆっくりと変形させたものと考えられました。もしもそうでなければ、2本のシャフトと本体とがスッティクしたでしょうから、ゆっくりと楕円になるまで本体が変形したとするべきでしょう。これは「写真」を見ますとキャブレターの底部の模様が確りと刻印(?)されているからですし、インシュレーターを取り出して厚さを測定してみますと中央部分が厚いのです。この2つの事実から上記の原因は証明されたものと思います。
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★CITROEN CLUB of North America の会報 [CITROENTHUSIAST] 1999 No3 に Rebuilding a DS Weber Carburetor;by Chris Dubuque があるので、要点を原文のまま紹介しましょう。
[Flatness] The caburetor is mounted to the intake manifold with a thermal-insulating bloke made of a fibrous material,similar to brake or clutch lining. This fiber block is somewhat soft, causing the bottom of the carburetor to become severely warped (変形)with repeated tightening of the carburetor mounting bolt(NUT?). It is common to see the bottom of the carburetor warped about 2 mm! Due to this warpage, it is imperative (避けれない) that the fibrous block and the carburetor are kept as a matched set.(曲がったまま使う意味!) Of course,the best solusion is to machine the bottom surface of the carburetor flat and install a new fibrous block. If you are patient,the bottom surface of the carburetor can be filed(ヤスリをかける)and then sanded until it is perfactly flat.New fiber blocks are available and sold under part number 5427584.と記されています。
 c0019483_19334373.jpg文頭では Insulator に疑いを記していますが、文尾では同じ 5427584 Insulator を薦めているようで矛盾を感じますが・・・
この内容に対する私の反論は、繰り返し取り付けナットを締めた「犯人」が明確であれば、以後止めればいいのであって、殆ど全てのDSのキャブの4ナットを締めたのはメカニックではないのでしょうか! 犯人が決まれば私も賛成しなければなりませんが、メカニックが頼まれもせずにキャブの4ナットを締めるとは考えられません。 また、シトロエン社の組立ラインではどうなっていたのでしょうか?
 私のGSでは、整備していたS自動車のメカニックに頼んで大きなワッシャを入れて、ダブルナットにしていました。従って、マニホールドとキャブとの材質の違いによる熱膨張の差の繰り返しに対しては正解でした。DSにも、このような処置をすれば、熱対策としては万全でしょう。いろいろ難しい問題を含んでいるようですし、「鶏が先か? 卵が先か?」に近い問題でもあります。

☆この記事の曲がってしまったキャブレーターの修復は、楕円の長径に合わせてドリルで円形にして、ややオーバーサイズの真鍮棒を押し込んで、これにシャフト径にリーミングしています。これによる効果は、アイドリングの安定とエミッション・テストに合格し易くなると記載されています。私のDSは10年以上経ちましたが、ナットの緩みも無く全く異変無しです。もっとも、半自動の場合には四隅のネジで増し締め出来るのは左後のみですが・・・他のねじは、頼まれても面倒ですが・・・
●インシュレーター;FERODO;5427584 は「写真」のように、しっかりした物です!!!
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□解説
 新品のキャブレターには純正のインシュレーター;FERODO:5-427 584, DD 142 98 が付いてきましたが、これを使用すると再びキャブレターの変形が徐々に発生することになる筈です。そこで、私は古いインシュレーターを平ヤスリで修正して再使用する方がベターではないのか?と考えたのです。このことは、キャブレターとインシュレーターとの関係を観察してみると、キャブから噴霧されるガソリン等はかなりインシュレーターにかかることが想像されます。
 DS21、23(DX)用のキャブレターはWEBER;28/36 DM2, W 47-00 です。この数字から Primary,Secondary Choke の径が 28mm,36mm かと思いましたが、さにあらずでインシュレーターの穴の部位の径であって、キャブレターのチョーク(狭い部分)はそれぞれ 24mmと27mmと No639/5に記載されています。
 さて、WEBERはプライマリー、セコンダリー・バタフライの開度は工場で「調整済み」ですので、決していじってはいけないのです。それ故、いじれるネジは2個所しかありません。「写真」で大きいネジとその上に取り付けられる Clutch Re-engagement Control装置とは内部で連結されています。大きいネジ;Accerelated Idling Screw を締め込みますと(材質から決して強く締めてはいけない)ブレーキを踏んでもエンジン回転は変わりません。このネジの開度によって連動する装置に掛るブレーキ油圧の影響が違って来ます。私の場合、ブレーキを踏まない時には950rpm にして半クラッチに、ブレーキを踏むと800rpm に下がりクラッチは切れた状態になります。大きいネジを緩めると、当然アイドリング回転は上がります。私のDSがフランスから来た時には、この大きなネジは締まった状態でした!
 もう一つのネジが写真で24H刻印の上の斜めの Mixture Screw です。このネジを緩めると、段々にアイドリング回転は上がりますが、緩め続けると今度は次第に下がり始めます。エンジン回転はガソリン濃度が薄くても、濃過ぎても低下しますから、薄くして行って回転が下がり始めるところにします。車検の時にはもう少しだけ絞ります。これらの2個のネジはいずれもセコンダリー側にあることが最も重要なことです。アイドリング時のエンジン回転とCO値を決めるのが、セコンダリー側であるとの意識はあまり無いのではないでしょうか?
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 このことがキャブレターの軸の周りから空気を吸っている場合に、アイドリング回転を支配していることになるから問題なのです。アクセルを踏んで、プライマリー・チョークが開いてエンジン回転が高くなってしまえば、軸の周りから吸われた空気は相対的に僅かなものになってしまいますから、問題は殆どなくなります。新キャブレターですから、WEBERの規格通りにCO値;2%以内に常になりました。やはり安定性が違います!上記しましたように、走りだせば違いはなくなります。

◆アドバイス
  われわれの手に入るDSはしょせんは中古車でしかないのですから、各部品はそれなりの状態であると思うのが当たり前の話なのです。このことは、キャブレターでは予想していなかったことでしたが、考えれば当然の事態でした。ですから、DSを日常の足に使っているとの話には私個人としては反対です。
 再度書きますが、私にとってDSは 1/1 Scale Modelですし、趣味の車です。キャブレターを新品にしてみて、程度の良いキャブと思っていたものが「とんでもない?」レベルであったことが解るのであって、購入したままで乗り廻しておられる方には再考をされるようにお願い致します等と、つい余計なことを記載してしまいました。

◎古いキャブレターの chamber(ガソリンが溜まっている所)には、かなり多量の錆の粉が溜まっていましたが、フィルターを通過したサイズですから問題は無いようです。この錆は磁性体ではなく、酸素の少ない場所で造られる錆の1種です。ガソリン・タンクとDSの燃料フィルターに付いては、別項で記載します。
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by citroends | 2005-05-15 21:51 | DS の整備と解説


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