[DSのハイトコレクター]
[セルフ・レベリング・システム]
■コメント
 この問題を解説するとき思い出すのは、CGとの[アクティブ・サスペンション]についての論争です。ロータス F−1がアクティブ・サスペンションを装備したとの話題を、ポール・フレール先生がレポートした折りのことでした。これを「大車林」で調べて、問題点のみ引用してみますと、アクティブ制御方法に集約されます。運転者の操作に応じて制御する[フィードフォワード制御]、車の挙動に応じて制御する、[フィードバック制御]、前方路面状況を検出して制御する[プレビュー制御]があると記載されています。
 前2者に付いては問題は無いのですが(既に、XMで採用されているように、装備している車は多い)[プレビュー制御]となると、前方路面の凹凸を検出するセンサーにより得られた情報により、油圧アクチュエーターをコントロールして路面の凹凸に合わせて車輪を上下させることになります。簡単に言えば「バネ無し車」が可能であるとの主張でした。「大車林」の油圧アクチュエーターの項に記載されているのは、シーマ用のシステムであり、CGの記事でも同じことが書いてあったのを思いだすのですが、アクチュエーターに並べて配置するコイルばねは、油圧作用しないときの車高の保持と、必要油圧の低減のためであって「ばね無し車」が可能であるとする記載です。当時の記事では、ロータスではこの「ばね無し車」を1年以内に発売すると書いてありましたが、未だにそのような話は聞いたことがありません。
 お気付きのように「液体は圧縮出来ない」のですから、この並列に装備された「ばね」が問題で、静荷重を支持するとありますから、一般的な車のばねと同じではないのか?が第1の問題点です。次に、その時のテーマが Fー1でありましたから、どのようなセンサーで路面の凹凸を検知して演算が間に合ったところで、車輪を路面に「ピタリと」合わせた位置にアクチュエーターの作動設定が出来る筈がないと私は反論し「ポール先生にも筆の誤り」と指摘したのでした。当時、K氏の反論はF−1のセンサーの位置が低いから「うまく機能しなかった」と記していたと記憶していますが、全くバカバカしいことで、そのような車を市販して何のメリットがあるというのか?と私が言って終わったと思います。
 今回のシーマのシステムの事は良く検討していませんが「圧力制御弁でメインアキュウムとサブアキュウムとの間の圧力バランスを取る・・・」との記載があるから、ロータスの件と同様に、単なる大型の「気室」を備えたショック・アブソーバーとの組み合わせであろうと思うのです。「ばね」の無い油圧単独アクチュエーターでロードホールディングとショックを吸収出来たら大したものでしょう。
 F−1での条件であれば「ばね無し」も可能でしょうが当時の記憶では油圧用に航空機用の高圧ポンプを使用したそうですから、それだけ大量の高圧作動油が必要であった!)komatsuも対応しきれなかったのではないのでしょうか。アクティブ・サスペンションは姿勢制御だけで充分であり、「ばね無し車」無用論が「私見」です。


[DSのハイトコレクター]
■コメント
 アクティブサスペンションに於いては、車高の検出は赤外線センサーで路面間の距離を測定するのに対して、ハイドロニューマチック・サスペンションでは、純粋に機械的なものです。既に、皆さんもご存知のように前後共にサスペンション・アーム軸にある[アンチロール・バー]の捻じれの平均値である中央部の変位を、DSでは前後共に「左側」にあるハイトコレクターに1m近い長さのロッドで伝えるのです。
 これは実に「おおざっぱ」な話で、センサーで測定するのとは違います。しかし、これで充分に機能している事実が重要ではないのでしょうか?同じアクティブサスペンションに分類されていても、基本的な考え方が全く違います。路面の凹凸にCPUで演算する速度が間に合うかどうかの問題と、ハイドロニューマチックでは逆に反応時間を意図的に遅らせる装置(ダッシュポット)をハイトコレクター内部に持つことです。
 すなわち、サスペンション・シリンダーに「出入り」する油圧を3-WAY-Valveでコントロールする際に、ニュートラル・ポシションから変位する(上下させる)際には、スライド・バルブを左か右に動かすのですが、この際には自由にLHMが移動する方のパイプを閉ざしてしまい、ダッシュポットを無理に通過させるのでサシペンション・シリンダーへの油圧供給が遅くなり、結果として車高変化が「ゆっくり」になります。この考え方は、路面の変化に敏感に反応し過ぎると、反って不都合になるからです。
「ダッシュポット」の構造は、中心に0.3mm径の孔がある5.8mm径の円盤(FOIL-WASHER)8枚から成ります。このハイト・コレクターは全車種に共通ですから流用が出来ますが、GSは配管径が7mmと少し細くなっています。この装置の故障は先ずありません。手動で車高を変える場合も、基本的には上記したスライド・バルブの移動には変わりはありません。

□解説
 ここでは、リヤ・サスペンションが良く「写真」撮影されていますので、詳しく記載しましょう。フロントからリヤへの[ブレーキ配管]、[サスペンション配管]、[手動車高調整ロッド]は全て左側のメイン・フレームに沿って束ねられているのが解ります。ブレーキ配管は一番下で、これは「トの字型」の[3-way-union]で分岐して「U字型」のゴム・ホースでリヤ・トレーリング・アームに移行しています。
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 ブレーキ・ホースは車検の度に注意深く点検していますが、他のゴム類と同様に非常に良い状態を20年間も保っています。[3-way-union]の後方でサスペンション系の配管類が多数みえます。この説明には、トランクの一番奥に隠されているリヤ・トーション・バーの上に3本の配管が見えるので良く解るでしょう。右側へのブレーキ配管、サスペンション配管とリターンチューブです。中央上にハイトコレクターへのコントロールロッドが左側へ伸びています。右側下のやや細いロッドはヘッドライト・上下コントロール用のもので、床面下を右前にまで達しますが輸入ディーラーで販売した時には「殺され」ておりますが、私の車では立派に「生きて」いました。このヘッドライト・コントロールに就いては「別項で記載」します。「写真」をもう一度見て下さい。
ブレーキ系の「トの字型」の[3-WAY-UNION]の後に[4WAY-UNION]があります。これがサスペンション系配管で1本が右サスペンション、2本目が右サスペンション、3本目がハイトコレクターで4本目が前へ戻ってブレーキ圧配分用になります。高圧配管が1本とリターン配管1本がハイトコレクターへ「山型」を描いて上からハ
イトコレクターに入ります。手動車高調整ロッドが一番上を通りハイトコレクターの上の横ロッドでハイトコレクターのボールジョイントを、下側からアンチロールバーからのロッドがそれぞれ動かしています。
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ここで、多くのテキストに載っているモノクロ図を、No 639/5よりカラー版を載せておきます。いままで述べてきた、油圧系の総決算ですが「ブログ」上では色付きで紹介出来るのはウレシイですね!それでもデータ量を減らすために、数字の装置名は打ち込むより他ありませんね・・・。
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[HYDRAULIC SYSTEM] 1.Hydrauric Selector
2.Suspension Cylinder Front 3.Union,4way-1 4.High Pressure Pump 5.Brake
Unit,Front 6.Brake Accumulator,Front 7.Presure-Regulator 8.Feed to
Power-Steering-Rack 9.Height Corrector,Front 10.Feed to brake control for
Front Brakes 11.Priority Valve 12.Overflow Return 13.Feed to Brake Pressure
Distributor Cylinder 14.Union for Brake Control 15.Feed to Brake Control
16.Height Corrector,Rear 17.Suspension Cylinder,Rear 18.Breke Drum,Rear.

▲フロントに就いては、グリースアップ・ポイントが2個所あり、前のオーナーがというよりもフランスのGARAGEのオヤジ?が見当外れの整備をしたので、カバーを外すともうグリースで一杯で「ドンブリに何杯も」除去するだけで大変でした。そのお陰で垂れ下がるグリースで錆とは縁がなくて済みました。
 また、よく泥汚れを落とさずに「凍結防止剤対策」用のオイル?をたっぷり毎年塗ったようで、下回りは泥と油のタール状でした。「錆無し」を喜ぶべきでしょう。スクレーパーで一部分掻き取りましたが、下から現れるのは錆無しのオリジナル塗装でしたので止めにしました。グリースだらけの「写真」を示しておきますが、このレベルがプロのやるスチームクリーン後の状態です。これ以上は趣味の問題?となる訳です。
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◆アドバイス
 リヤ・フェンダーは、ご存知のように後のボルト1本を抜けば、写真でも見えるリヤ・ドアーの前の2本の角から抜くと、真上の金具で吊られているだけだから全て無くなるのはリヤ・ブレーキの項で述べた。中の3角形のカバーを除去すると配管類が見える。私の車では錆は少なく部分的に落としてホルツの亜鉛を吹いたところだが、この程度の処理はしておくべきだろう。トランクの奥にあるアンチ・ロール・バーを収納している所が私のDSのように錆無しのピカピカとは限りません。このような”MINT CONDITION”にはめったにお目に掛れないと思った方が良いと思います!
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 DSのスタイリングのせいで、トランクの床面は奥に行く程に低くなるので、入った水はこの部分に全て溜まってしまうので錆やすい「弱点」であるのです!
 ですから、中古のDSを買う時には必ず錆の有無を確かめる場所であるのです!この部分の錆が酷かったら「価値なし」と判断して手を出さないことです。くれぐれもお忘れなきように!!!そのような車は、トランク・リッドの裏の防水スポンジの表面のゴム膜がダメになっている筈ですし、周囲も錆て水漏れがあると決めて良いのです。

●車高はトーションバーからのロッドとハイトコレクターの微調整で簡単に決まると甘く考えない方がよいと思います。かなりいい加減なくせに敏感なところがあるのです。その構造を理解されればご納得される筈です。トーション・バーから路面まで何cmと記載されていますが、まず無理な事で、前輪の場合にはタイヤとフェンダーまでが「げん骨一つ」、後輪はフェンダー下縁がホイール・キャップのセンターの少し
上といった程度のもので、実際に結果オーライなのです。手動車高調整は一層「あいまい」なものですから省略します。
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by citroenDS | 2005-03-20 13:40 | DS の整備と解説


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