[パワー・ステアリング・ラックの輸入と交換]
■コメント
 DSのパワー・ステアリング・ラックには、一般の車よりも遥かに高圧の油圧で作動しているので、油圧シリンダーは小型にすることが出来ます。その反面で油圧シールがテフロン・リングを使っているので、交換するには圧入する特殊工具が必要になりますが、かつての輸入ディラーには既にありませんでした。その為にラック直下のギヤ・ボックスの上に緑色のプールを作っているDSが多いようです。欧米ではこの特殊工具を売っていますが、一般的には古いものを送り整備済みのものと「交換」する方式です。
 英国のHYPERTRONICSに注文しておいたのだが、返事がないままになっていた。ところが、突然に郵便小包(10 kgまで)が届いた。大きさと形からステアリング・ラックであるのは直ぐにわかった。[写真]
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 ブーツ類は新品、全体もグリーンに奇麗に塗装してある。オイル・シールが2個に接続ロッド部に使うフレキシブロックも2個付いてきた。部品合計で£264、送料£41。当時で約 8万円であったが、現在でも為替換算で同程度だろう。それに古いラックを返送するから、もう1万円かかる。その頃のJ.B.Mの価格が6万円程であったから、為替を考えると米国のほうが安いだろう。特に最近はその傾向にあるだろう。アライメント用特殊工具(1955T;$35)が無いと言うので直ぐにJ.B.Mに注文したら、12日で来た!米国では古い部品を返送する時には、出来るだけ奇麗にして送り返さないと「手間賃」として$30/時間を取られるので注意。ラックのアコーディング・ブーツが破れ易いのでJ.B.Mでは肉厚のものを開発している。$28×2。

□解説
 パワー・ステアリング・ラックの交換作業は、押さえるべき所をキチント行えばたいしたことではない。パワー・ステアリング・ラック本体(ボックスと書いてある)の中央部から左右のステアリング・ロッドが出ている。これはフレキシ・ブロックを介して取り付けられる。ロッドの対側は左右のステアリング・リレーのアッパーアームが取り付けられている。これはL型のアンダー・アームと「写真」の如くにスプラインで接続されているから、確りと「マーク」をすることが大切である。私は絶対に消えないように「ドリル」で「マーク」を彫って白色に塗った。
 これはDSのステアリング・ラックがギヤ・ボックスの上にあり、リレー部を介してアンダー・アームがハブを動かす形式であるからで、このようにして、両側のリレーのアッパー・アームをスプラインで外すと、ステアリング・リレーの軸が前方でステアリング・ラック本体を固定しているのが解る。
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「写真」は右側リレーの頂部の周囲を写していますが、右側のアッパー・アームの内側に三角形の金具が見えますが、これはステアリングの動きに連動する内側の補助ライトを動かすロッドが繋がる所です。左側のステアリング軸には2個の油圧バルブがあり四角いゴム製ダストカバーで保護されていま
す。この直ぐ前には高圧油圧配管の接続プレートがあります。
 バルブを開閉する軸には4分割されたスプラインがあり、ステアリング軸と噛み合っていて、スプラインの中央の凹みに10mmボルトが貫通して固定しているので、交換するにはラック本体を前下方向に、次いで右方向に「ゆっくりと注意深く」移動して取り外すのだが、ラック本体は想像するよりも「重い」ので、じっくり腰を据える必要があります。最初に記載しませんでしたが、DSではエンジン・ルーム内の大きな作業をするには、前フェンダーを外して行うのは「当然」のことなのです。この作業でも、最小限左側のフェンダーとバッテリーの取り外しは必要です。

◆アドバイス
 パワステ・ラックの着脱には、かなり時間が掛るので油圧配管の作業には共通の「配管部分にゴミが入らないようにビニール袋で覆っておく」注意が必要です。取り付けには、「特殊工具;アライメント・ツール:1955 T」が必要です。
 これはステアリング軸とステアリング・ラックを一直線に組み付ける為に3点の位置を決める訳です。これで正確なアライメントを出したら、左右のリレーの取り付けボルトとステアリング軸のボルトを締めます。結果、ステアリング軸と左側のリレー軸との間隔は指定の 122.5mmになっています。重たい以外に大して難しい作業はありません。
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「写真」

▲参考
 DSのパワーステアリングは、ステアリングをきった側のスライド・バルブが開いて反対側のシリンダーに油圧が掛るので、常時油圧が掛かっている訳では無いからオイル漏れは少ない。
 また、ステアリングが固定された位置では、シリンダー内にオイルが閉じ込められた状態が保たれる構造です。直進性の維持には、小型の円盤一部分が凹んだものを、弱い(鉄棒に小さな滑車が付いている)バネで押している簡単なものですから、「形だけの、気持ちだけの」ものです。実物を見ると笑ってしまいます。前項[ギヤ・セレクト・レバーの操作と作動]の2番目の写真に見えます。CXのような強力なものではありませんから、停車していたらアシスト無しに近く、走行時はステアリング・ホイール径と細いタイヤ径に頼っている部分が多いと思います。
 現在のパワステを基準に考えたら、走行していない限りパワステ付きなの?とキット言うでしょう。ステアリングをいっぱいに切った時に、180でもフェンダーにタイヤが当たるので、185以上のタイヤをはくのは如何なものでしょうか?北米では205とか聞くのですが・・・。
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by citroenDS | 2005-03-13 14:07 | DS の整備と解説


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